G-CaMP7を神経細胞とアストロサイトに発現するマウス(G7NG817、理研BRC RBRC09650)および、G7NG817マウスとアルツハイマー病モデルマウス(NL-G-F)を掛け合わせたマウスの大脳皮質・視覚野のニューロピルより二光子イメージングを行なった。昨年度の結果を踏まえて、シグナル・ノイズ比の高い皮質1層のデータを覚醒下のマウスより収集した。ブレ補正の一次画像処理を行った後、ニューロピル解析の計算機環境として、リナックス計算機サーバーに負値行列因子分解(Non-negative Matrix Factorization = NMF)を利用した解析プログラムを活用した。昨年度と同様に、各動物の画像データから一部領域を抽出し、NMF解析を行った。その際、領域範囲などの調節により、ニューロピルデータから信号成分を抽出できるようにした。その結果、時定数の短いシナプス様シグナルや、時定数の長いアストロサイト様シグナルが自動的に抽出できた。(しかし、検出しきれていないシグナルも多いこと確認された。)バッチ処理の後、動物群間のシグナルの比較をするために、抽出された抽出された個々の領域のシグナル間の相関マトリックスを計算した。しかし、個体間のバラツキとノイズが多く、信頼性のある信号を抽出するには至らなかった。また、イメージング深度により球面収差補正管を適宜に利用すれば空間解像度があがり効率的なイメージングができることが確認された。現在は、アデノ随伴型組替ウィルスを用いて、赤色蛍光カルシウムセンサーと緑色カルシウムセンサーを神経細胞とグリア細胞(アストロサイト)にそれぞれ発現させ、シグナル抽出の向上を試みている。
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