研究課題/領域番号 |
16K13118
|
研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
安藤 博士 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (00638794)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 体内外無線通信 |
研究実績の概要 |
近接距離や送信電力、周波数と干渉の関係等について、シミュレーションにより最適な無線通信方式の検討を行うとともに、超近距離無線局を近接利用した時の伝送特性を調査した。 具体的には、本研究の成功に最も有望と考えるUWB無線通信をターゲットとし、電磁解放射伝送方式による体内外多重通信実現のためのフィージビリティ・スタディを行い、近接距離や送信電力、周波数と干渉の関係等を明らかにすることを計画した。UWB無線のみにとらわれず、微弱無線の取扱として他の方式についても技術調査を行い、超近距離向けとしては磁気結合による誘導電界無線通信(TransferJet等)も有望と考えられるので、複数の無線伝送方式についても検討を進め、総合的にどの無線方式が最適であるかを検証した。 結果として、体内外模擬シミュレーションにより、8GHz帯のUWB通信が有効であることを示した。アンテナ方式として、サイズおよび指向性の観点から、TransferJetよりも磁気誘導/磁気共鳴方式の方が優れていることがわかり、磁気誘導/磁気共鳴方式を選定した。アンテナ設計では、アンテナサイズ(7x7mm角)が半波長と同程度になるため、実際には結合共振アンテナに近いものになった。8GHz帯での体内外通信シミュレーションにて、通信性能と指向性特性を評価した結果、隣接アンテナからの相関のレベルは対面アンテナの受信電力に比較して10dB小さいことを確認した。また、冶具の影響評価や外部アンテナを1台に簡易化した場合の影響調査を同様のシミュレーションにより行い、ともに対面アンテナからの通信性能にあまり影響を与えないことを確認した。また、ケーブル長の影響も小さいことを確認した。これらにより、実験による評価方法を具体化した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、近接距離や送信電力、周波数と干渉の関係等について、シミュレーションにより最適な無線通信方式の検討を行うとともに、超近距離無線局を近接利用した時の伝送特性を調査し、8GHz帯のUWB通信が有効であることを示した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、送信系、受信系、データ評価系およびデータ解析系を含めた実環境を模擬した無線評価系を構築して体内外無線伝送特性を評価し、課題と実現可能性を明らかにする。実際に送受信機を開発し、無線評価系や動物実験を通して、独自に通信可能か検討するところまでも目指す。 具体的には、人体特性を模擬した液体ファントムを用いて送信系を構築し、指向性や干渉性など、体内外アンテナとの伝送特性を明らかにすることを計画する。適切な伝送特性となるよう、アンテナの設計も行う。送信機に要求される性能が緩和されるので、送信パワーに対する伝送レートや干渉への影響についても評価する。データ送信器としては、本務研究で開発済みのUWB送信機や、所属機関研究室にて配備済みのシグナルジェネレータを用いて任意の信号波形を生成して評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画通り、近接距離や送信電力、周波数と干渉の関係等について、シミュレーションにより最適な無線通信方式の検討を行うとともに、超近距離無線局を近接利用した時の伝送特性を調査したところ、比較的早い段階でUWB通信方式が有望であると判明したため、これに関する調査費用を節約できたことで次年度への使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
人体特性を模擬した液体ファントムを用いて送信系を構築し、指向性や干渉性など、体内外アンテナとの伝送特性を明らかにするため、既存設備を有効活用して本務研究で開発済みのUWB通信評価系を利用する予定であったが、本研究内容に合致するようにUWB通信評価系を改良し、より最適な結果を得ることを検討し、これの費用に割り当てる予定である。
|