研究課題/領域番号 |
16K13118
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
安藤 博士 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (00638794)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生体内外無線通信 |
研究実績の概要 |
人体特性を模擬した液体ファントムを用いて送信系を構築し、指向性や干渉性など、体内外アンテナとの伝送特性を評価した。適切な伝送特性となるよう、アンテナの設計も行った。 まず、ファントム内のアンテナをファントム外のアンテナの正面に配置した場合の通信性能を測定した。次にファントム外に設置したアンテナの位置をずらして、アンテナが対面していない場合の通信性能を測定した。対面している場合、通信距離はアンテナがファントム内5mmの位置でS21は約‐30dBで、傾斜は約‐5~6dB/5mmであるが、距離が遠くなると、‐10dB/5mmに近づいた。一方、ファントム外のアンテナ位置を容器に沿って17mm移動させた場合、約10dB低下した。 近距離では通信距離の差が大きく、S21はd=5mmで約10dB実測の方が小さいが、d=10mmでは5dB程度、d=15mmでは数dB程度の差に収まってくる。理論計算では、S21の傾斜は-10dB/5mmであるのに対し、実測ではdが小さくなると、傾斜がやや緩やかになっており、この差の原因としては、整合素子やケーブルの漏れ電流、及び測定誤差の影響が考えられる。 以上から、外部アンテナの+X方向、‐X方向の移動に対して、アンテナの通信距離はほぼ対称的に変化することがわかった。外部アンテナのX方向17mm移動時の通信性能は、アンテナサイズが7x7mmであるので、液体ファントム内で10mm間隔で置かれた隣接アンテナからの通信性能に相当する。対面アンテナに比較して約10dB通信性能が劣化しており、シミュレーションの結果に一致した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
評価系の構築および測定ではUWB送受信機を用いる予定であったが、開発したUWB送受信機の特性が適切でないことが判明し、改良開発に時間を要し、研究の進捗が遅延したため、最終年度を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度構築した人体模擬液体ファントム評価系について、UWB送受信機を組み込むことを計画する。送信系と同様の評価系を用いて受信系を構築し、各受信機が他との干渉や欠損なくデータを受信できるか、他の受信機との同期ずれが発生しないか、体内アンテナと体外アンテナの位置関係による伝送特性の最適化などについて評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価系の構築および測定ではUWB送受信機を用いる予定であったが、開発したUWB送受信機の特性が適切でないことが判明し、改良開発に時間を要した。これにより当該研究の進捗が遅延し、最終年度を延長することとしたことが理由である。今年度は構築した人体模擬液体ファントム評価系について、UWB送受信機を組み込むことを次年度に計画し、送信系と同様の評価系を用いて受信系を構築し、各受信機が他との干渉や欠損なくデータを受信できるか、他の受信機との同期ずれが発生しないか、体内アンテナと体外アンテナの位置関係による伝送特性の最適化などについて評価するため、これの費用に割り当てる予定である。
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