研究課題/領域番号 |
16K13119
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
越野 剛 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 准教授 (90513242)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 中露関係 / 比較文化 / 極東 / サハリン / 黒河 / 中国イメージ / 社会主義文化 |
研究実績の概要 |
●北海道大学で8月20-21日にシンポジウム「紅い星に願いを:社会主義文化の伝播と比較」を開催し、ソ連映画「ここの朝焼けは静か」の中国におけるリメイク(TVドラマ)について報告した。中国版ドラマは中露国境地域である黒河市周辺で撮影されており、本科研課題との関連でも興味深い。シンポジウムには中国・ロシアおよびその周辺地域の文化を専門とする研究者10名が参加し、今後の共同研究のための基盤を作ることができた。 ●北海道大学で9月13日に特別セミナー「現代中国におけるロシア文学受容」を開催し、北京の社会科学院文学研究所の研究者3名と日本のロシア文学研究者との間で意見の交換を行った。 ●上海の華東師範大学で9月24-25日に開催されたスラブ・ユーラシア研究東アジア学会において、中国・韓国の研究者と協力して、東アジア三国におけるロシア文学の影響に関するパネルを組織し、そのパネルにおいて樺太サハリンを舞台にした日ソの文学の比較について報告した。9月26日には上海師範大学において現代ロシア・ベラルーシ文学における中国のイメージについて講演を行った。 ●北海道大学で10月22-23日に開催されたロシア文学会全国大会で、中国・韓国の研究者と協力して現代ロシア文学に関するパネルを組織した。 ●3月7-9日に南京で現地調査を実施し、南京虐殺事件の記憶に関する主要な記念施設を訪問、また中国におけるロシアのイメージに関して資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
●上海や北京のロシア研究者との協力関係を構築できた。とりわけ上海師範大学の田洪敏氏は現代ロシア文学における中国像について研究を行っており、本科研課題とも関連が深い。 ●8月のシンポジウム「紅い星に願いを:社会主義文化の伝播と比較」の開催により、中国とロシアおよびその周辺地域の研究者との協力関係を構築することができた。それをふまえて申請した基盤研究(B)の共同研究は採択されなかったが、今後も共同研究は継続的に行う予定である。 ●1年目に予定していたロシア極東地域(ヴラジオストク、ブラゴベシチェンスク)の現地調査を実施できなかった。ただしモスクワ(9月)、上海(9月)、南京(2月)の現地調査において補足的な資料収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
●1年目に実施できなかった極東地域における現地調査を行う。ヴラジオストク、ブラゴベシチェンスク等において資料収集を行うほか、現地の作家や研究者への取材や意見交換を予定している。 ●9月に国立台湾大学において開催される比較文学に関する国際学会でソ連文化の東アジアにおける影響に関するパネルを組織し、中ソ文化の影響関係について研究協力者の田村容子氏と共同報告を行う。 ●ロシア・ソ連、中国、その周辺地域の文化に関するこれまでの共同研究の成果として英文の論集を刊行する。 ●ハルビン、黒河などの中国東北地域の研究者との共同研究体制を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国内・海外旅費を中心にして予算を節約することができたため若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
極東地域における現地調査のための旅費および出版のための費用に使用する。
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