今年度は人の移動を目に見えるかたちで示す場としての外国人街の文化イメージに着目して、ウラジオストックの「ミリオンカ」という中華街の歴史とそこを舞台にした文学作品について研究を行った。またロシア・ソ連の文学・映像作品のアジアにおける翻案・受容にも関心を持ち、いくつかの研究報告を行った。 2018年6月30日にモンゴル国立大学で開催されたスラブ・ユーラシア研究東アジア学会で、中国・韓国の研究者と共同で「Russian Culture and the East: Image and Reception」というパネルを組織し、ソ連映画『1918年のレーニン』の中国における受容に関する研究発表を行った。その成果は『連環画研究』に論文として刊行した。 2018年7月28日には、東南アジアにおける中国系共産主義者の活動を描いたドキュメンタリー映画の上映会を北海道大学で開催し、東南アジア研究者2名を招いて討論を行った。 2018年10月6日に東京大学で開催されたシンポジウム「東欧文学の多言語的トポス」に参加して、ロシア極東およびベラルーシにおける中国イメージを比較考察する研究発表を行った。その成果は2019年度中に論集のかたちで刊行する予定である。 2019年2月16日に東京大学で開催された国際ワークショップ「表象文化としてのドストエフスキー」に参加して、フィリピン・日本・カザフスタンなどアジアにおけるドストエフスキー作品の映像への翻案を比較考察する研究発表を行った。
|