研究課題/領域番号 |
16K13132
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
児玉 由佳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究グループ長 (10450496)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エチオピア / 湾岸諸国 / 家事労働者 / 人権侵害 |
研究実績の概要 |
本研究は、エチオピアから中東へと就業機会を求めて移住した女性をとりまく状況と彼女たちの渡航の動機を解明することを目的としている。今年度は、先行研究を検討する一方で、アラブ首長国連邦およびバーレーンでの現地調査を実施することで、その実態を明らかにすることを目指した。 1) 2018年1月24日から2月4日にかけて、アラブ首長国連邦およびバーレーンにて、エチオピアからの女性移住者に対してインタビューを行うのと共に、移民関連の行政機関に訪問して、外国人労働者、特に女性の家事労働者の受け入れに関する法整備や制度について聞き取り調査を行った。本調査で明らかになったのは、第一に、エチオピア人女性のほとんどが家事労働者となっているが、出稼ぎ先進国であるフィリピンやインドネシアからの女性移住者と比較すると地位および給与は低い水準にとどまっていることである。これは、英語能力や衛生観念などの低さなど、家事労働者としての熟練度の低さが大きく関係しているが、それだけでなく、湾岸諸国における移民女性の待遇は、本人の能力や受入国における法整備などに加えて、送出国側の政府の在外国民への積極的な支援が大きく関係するという点が明らかになった。特に人権侵害に対するフィリピンやインドネシア政府の不断の圧力が、UAEおよびバーレーン政府の対応改善をもたらしていた。同時に、アフリカ諸国の政府の在外国民に対する無関心も指摘された。 2) 関連文献を購入し、先行研究レビューを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
湾岸諸国で調査をおこなうことで、どのような形で湾岸諸国在住のエチオピア人とコンタクトをとることができるのか、また、湾岸諸国の政府機関へのアポイントメントをどのようにとるべきかを把握することができた。 同時に、政府機関、在外エチオピア人とも予備的調査ではあるが、実態をある程度把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き湾岸諸国での現地調査を行うのと共に、エチオピア政府の移住労働者への政策についての情報収集が必要である。 また、学会での報告などを通して、他の研究者との意見交換を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
湾岸諸国への現地調査の費用が予想よりも低くなったため、次年度使用額が生じた。この費用は、2018年度に行う湾岸諸国およびエチオピアへの渡航調査費用に充当するものとする。
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