研究課題/領域番号 |
16K13132
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
児玉 由佳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ジェンダー・社会開発研究グループ, 研究グループ長 (10450496)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | エチオピア / 家事労働者 / 国際労働移動 / 中東湾岸諸国 |
研究実績の概要 |
本研究は、エチオピアから中東へと就業機会を求めて移住した女性をとりまく状況と彼女たちの渡航の動機を解明することを目的としている。今年度は、先行研究を検討し、昨年度までの研究成果のとりまとめを進めるのと共に、学会などで成果報告を行った。 1)昨年度までの研究成果について学会および一般公開セミナーなどで発表した。 ①5月26日 日本アフリカ学会第55回学術大会「エチオピア女性の湾岸諸国への労働移動―その動機とプロセス」日本アフリカ学会第55回学術大会、②6月14日 アジア経済研究所 図書館セミナー「エチオピア女性の湾岸諸国への 出稼ぎ労働 ―なぜ彼女たちは旅立つのか?―」、③8月1日 アジア経済研究所夏期開講座(東京)「湾岸諸国に出稼ぎに行くエチオピア女性たち」 2) 関連文献を購入し、先行研究レビューを行った。
これまでに得られた新たな知見として挙げられるのは、エチオピア農村の若年層の女性が渡航に至るまでの動機に関するものである。エチオピア国内の女性の就業機会の少なさが渡航の主要要因ではあるが、多くの女性が、自ら渡航を決断しているという点も明らかとなった。そこには、MDGなどによって蓄積されてきた女性の就学機会の向上による意識変化も大きく作用している。その一方で、渡航後の待遇については、労働者として、アフリカ人女性は東アジアの女性と比べて低い位置づけに甘んじており、境遇の改善が急務である。このような待遇の違いには、送出国政府の支援体制や教育レベルの問題などが大きく関係している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究報告など成果発表については予定通りにすすんでいる。
ただし、2018年度に予定していたサウジアラビアでの現地調査は、カショギ事件などサウジアラビアにおける国内情勢の不透明化もあり、断念せざるを得なかった。そのため、補助事業期間延長を申請し(承認済)、他の中東アジアの国において2019年度に調査を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)エチオピアおよび中東諸国における現地調査 エチオピア:労働目的の中東諸国への渡航が再開したのを受けて、エチオピア政府の支援制度や斡旋業者の役割などについての調査を行う。 中東諸国:UAEやバーレーンでの調査、および今回渡航延期となったサウジアラビアについては、NGOの活動が抑圧されており、外国人家事労働者の実態を広く理解するには困難な状況があることが確認された。一方、レバノンやクウェートのように、虐待について多く報道されている国は、逆に民間団体の活動が活発であるために事態を告発することができるということを意味している。それに鑑み、レバノン、クウェートなどで、NGO活動などの状況を確認しつつ調査を行う予定である。
2)成果の執筆 これまでの研究成果をもとに論考を執筆する。今年度の調査の結果を随時反映される予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定していたサウジアラビアでの現地調査は、カショギ事件などサウジアラビアにおける国内情勢の不透明化もあり、断念せざるを得なかった。そのため、補助事業期間延長を申請し(承認済)、2019年度に引き続き調査を行う予定である。 エチオピアでは、労働目的の中東諸国への渡航が再開したのを受けて、エチオピア政府の支援制度や斡旋業者の役割などについての調査を行う。中東諸国については、UAEやバーレーンでの調査、および今回渡航延期となったサウジアラビアについては、NGOの活動が抑圧されており、外国人家事労働者の実態を広く理解するには困難な状況があることが確認された。一方、レバノンやクウェートのように、虐待について多く報道されている国は、逆に民間団体の活動が活発であるために事態を告発することができるということを意味している。それに鑑み、レバノン、クウェートなどで、NGO活動などの状況を確認しつつ調査を行う予定である。
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