研究課題/領域番号 |
16K13134
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 晶子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40361589)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | セクシュアリティ / ジェンダー / フェミニズム / クィア / 身体 / LGBT / 社会運動 |
研究実績の概要 |
今年度は、身体レベルにおける諸差異の共存と連帯の可能性を探るための前段階として、セクシュアリティの表象に関してジェンダー、人種、セクシュアリティなどの差異を孕む多様な立場からのフェミニズム研究における先行議論の蓄積、とりわけ80年代の「ポルノ論争」をめぐる論争の要点を整理した(「ポルノ表現について考えるときに覚えておくべきただ一つのシンプルなこと(あるいはいくつものそれほどシンプルではない議論)」、『社会の芸術/芸術という社会』(北田暁大・神野真吾・竹田恵子(社会の芸術フォーラム運営委員会)編)フィルムアート社、2016年、pp.151-74)。並行して、90年代の竹村和子の理論翻訳の詳細な読解を通じて、日本におけるクィア理論の導入期における「ジェンダーの政治」としてのフェミニズムと「セクシュアリティの政治」との緊張関係、及び「翻訳」という営為によってその緊張関係にどのような理論的/政治的介入が試みられていたのかを、明らかにした(“The Translation of Politics: Introucing Queer Theories to Japan”, Crossroads in Cultural Studies Conference 2016(国際学会))。また、現在の渋谷区同性パートナーシップ条例に関わる言説を中心とする「LGBT運動」について、欧米諸国における性的少数者の権利運動、国内の「LGBT」政策、さらに女性政策との関係から考察を行ない、招待講演及び論文執筆を行った(「ダイバーシティから権利保障へ:トランプ以降の米国と『LGBTブーム』の日本」、『世界』2017年5月号収録)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
学内業務に予想を大幅に上回る時間を割く必要があり、長期休暇時をのぞいて当該研究に十分な取り組みの時間を持てなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究予定であった個別身体レベルでの差異の感得について、とりわけ「接触」と「身体表面」についての理論化は、本研究の基礎となる部分であるため、これを引き続き本年度の中心課題として取り組むこととする。今年度は国際学会への参加は見合わせ、国内外の研究者を招聘しての研究会を開催して、研究課題に集中した議論を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は学内業務のため申請研究に十分な時間を割くことができず、すでに購入済みの資料を整理及び分析して論文形態での成果報告を行なったため、研究費利用の必要性がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度に収集できなかった資料の収集及び研究会の開催として利用予定。
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