研究課題/領域番号 |
16K13134
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 晶子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40361589)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ジェンダー / セクシュアリティ / フェミニズム / クィア / インターセクショナリティ |
研究実績の概要 |
当該年度は、集団の政治における諸差異の共存と連帯の可能性の追及についての研究を遂行した。とりわけ、8月に開催した公開研究会では、日米の研究者、さらに若い世代のアクティヴィストも招いて、日本におけるジェンダーの政治とセクシュアリティの政治との重なりとずれを確認し両者の共生の可能性を探るべく、今世紀初頭のいわゆる「バックラッシュ」から現在につながる道徳的保守勢力からの批判や攻撃の歴史を踏まえた議論を行った。この議論によって、今世紀に入ってからの日本におけるジェンダーとセクシュアリティに関わる政治の側は大きく変化したように語られることがあるにもかかわらず、それらの変化への対抗勢力は基本的に一貫して変わっていないこと、そこで問題になるのは「伝統的家族」とそれを崩壊させるものとして位置付けられる「性的マイノリティ」とであること、そしていわゆる「ダイバーシティ」や「LGBTブーム」が指摘される昨今も性的マイノリティの権利運動へのバックラッシュは少しずつ強められてきていること、などが確認された。 また、年度末には国際学会(SCMS)に参加し、隣接という空間的配置が身体にもたらしうる脅威やリスクと、それにもかかわらず諸身体が存在するための条件ともなる他者との関わりの必要性とについての考察から導かれる倫理的要請について、とりわけそれをポストコロニアルなジオポリティクスにおける距離や近接性の政治的操作の問題と接続する論考を、報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アウトプットについては昨年の成果をもとに進めることができたが、予想外の大学業務が続き研究に避ける時間が大幅に減少してしまったために、調査や検討が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には当初の予定をフォローする形で進める予定であるが、今年度任命された大学内の役職負担が大きいこともあり、研究を一年延長することも念頭に入れつつ進めたいと思う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に関わる支出の一部が別の資金源から負担できたためと、大学業務のために予想のエフォート率を下回ることになったために、使用額が予想を下回ることになった。繰り越した額については今年度、または延長年度において当初の計画通り使用する予定である。
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