研究課題/領域番号 |
16K13135
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岩本 健良 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (50211066)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 適性検査 / MMPI / 教員採用試験 / 人権 / テスト・スタンダード / LGBT / MINI-124 |
研究実績の概要 |
これまで大学入試においてMMPIはまったく使われていないと思われていたが、東京医科大学における入試適性検査で使用されていたことを、受験生からの情報をもとに分析して記者と協力し明らかにした。精神医学や心理検査の専門家も擁するはずの大学においても、使用の妥当性・適切性が十分吟味されないまま利用が続けられてきた事実により、この問題の根深さが改めて明らかになった。この内容は8/19付のHuffingtonpost紙でMMPIの解説や問題点とともに詳細に紹介された。 近年の政治におけるアプローチについては国会質疑・主意質問書における動向を再レビューし、詳しい議員にインタビューを行うとともに残されている課題や今後の取組みについて意見交換を行った。 性的指向・性自認に関するジェンダー質問のあり方について、前年までの調査研究に基づき、別の科学研究費プロジェクトと協力して、「大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート」郵送調査を実施して、回収・コーディングを終え、分析段階にある。数理的アプローチとしては、学会報告をもとに他の研究者と協力して「性的マイノリティの自殺・うつによる社会的損失の試算と非当事者との収入格差に関するサーベイ」(労働政策研究・研修機構(JILPT) Discussion Paper 19-05)にまとめ、同機構のサイトで公表された。 これまでの研究成果を生かして、『ダイバーシティ時代の教育の原理:多様性と新たなるつながりの地平へ』の13章「多様な性を生きる子ども」を執筆し出版された。また、GID(性同一性障害)学会大会において招待講演を行った。加えて産学連携の「オフィストイレのオールジェンダー利用に関する研究会」による調査分析に基づき報告書を作成し,関連分野の研究者や実務家を対象に報告会を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を進める中で、これまでまったく知られておらず当初計画では想定していなかった,大学入試においても一部大学でMMPIが利用されていることが2018年に確認された。そのため、当初の計画を一部見直し、1年延長してより広汎な範囲について研究を行う必要があることが明らかになったため。また、健康上の理由から予定のペースで研究が進捗できなかったことも、理由である。
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今後の研究の推進方策 |
計画の一部見直しをもとに、大学入試での利用を含め補足的調査を実施する。それをもとにこれまで進めてきた成果を、性的指向・性自認に関する適切な質問のあり方という視点からとりまとめ、学会報告や学術論文として公表し、適性検査の改善と、性的指向・性自認に関する社会調査の進展に貢献することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では想定していなかった大学入試においてもMMPIが利用されていることが2018年に確認されたため、当初の計画を一部見直し、1年延長してより広い範囲について研究を行ってまとめる必要があることが明らかになったため。 次年度の経費については、一部見直した計画をもとに、補足的調査を実施と、学会報告や学術論文等で公表するための経費に充当する。
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