研究課題/領域番号 |
16K13136
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 千雅子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90273200)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | スポーツ / トランスジェンダー / インターセックス |
研究実績の概要 |
トランスジェンダーおよびインターセックスの競技者のスポーツ大会参加条件に関する調査について、平成28年度に回答者をLGBTコミュニティに限定して行ったパイロット調査では、スポーツ・競技スポーツへの参加頻度、オリンピックへの関心の程度、ジェンダー・アイデンティティ、競争社会への認識、大会レベルなどとの関連にもとづいて考察した。調査結果からは、性的マイノリティのスポーツ参加に対する条件緩和が、大会レベルが上がるにつれ否定される傾向にあり、競争レベルが高いスポーツ大会ほど、身体的に有利であるとされるMtFトランスジェンダーとインターセックスの選手を女子競技から排除し、競争の公平性を望む傾向にあると結論づけられた。 このパイロット調査の結果を踏まえ、平成29年度には本調査に向けて調査票の見直しを行った。具体的には、性的マイノリティのスポーツ参加に対する条件緩和の大会レベル別調査を軸にして、スポーツの目的、アスリートアイデンティティ、フェミニストアイデンティティ、トランスフォビア、公平性に対する態度を測るスケールを用いて新たに調査票を作成し、平成30年度中に500人分の回答を得る計画を進めた。 アンケート調査で明確になった、大会レベルが上がるにつれて寛容度が下がる傾向について、その理由をさらに掘り下げるために、LGBTコミュニティのグループと女性アスリートのグループに対して、グループディスカッションを行った。このディスカッションは、グラウンデッドセオリーアプローチに基づき行っている。調査結果については、平成30年度中に学会発表を行い、投稿論文を作成する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度中に本調査を行う予定であったが、幸運にもグループディスカッションの協力者を得ることができたため、平成30年度に行う予定であったグループディスカッションの計画を先に行うこととした。そのため、平成29年度に行う予定であったアンケート調査のための調査票の作成が遅れてしまい、アンケート調査は平成30年度に行うこととした。グループディスカッションについても、明らかにしたい内容を踏まえて方法論を模索していたため、ディスカッションを行ったのが年度末となってしまい、調査結果の分析は平成30年度に持ち越された。 しかしながら、本調査は平成30年5月に行う準備が完了したため、遅れは取り戻せる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度はアンケート調査を行い、その結果を統計的に分析して、投稿論文を執筆し、国際ジャーナルに投稿する予定である。また、グループディスカッションの結果についても、論文にまとめて国際ジャーナルに投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に行う予定だったアンケート調査を平成30年度に行うことにしたため。差額は、アンケート調査のために使用する予定である。
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