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2016 年度 実施状況報告書

パラオの親族集団に見られる教育・職業機会を求める女性の相互支援の役割と機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K13137
研究機関高知大学

研究代表者

廣瀬 淳一  高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (20748579)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード女性と教育 / 女性のキャリア / 客観的幸福 / 主観的幸福 / 母系社会 / 協調行動 / 互恵性 / 利他主義
研究実績の概要

本研究は、パラオの女性と教育機会及び就業機会の関係に注目して、親族集団の女性グループ内の協力メカニズムを解明することを目的としている。本研究では、当該グループのメンバーにヒアリング調査を行い、女性同士の相互支援の仕組及びそれが必要とされた社会的背景を明らかにしていく。
平成28年度の計画は、①パラオ政府等から収集・分析し、②パラオの官民から教育と伝統的価値についてヒアリングを行う、③調査対象の女性グループを絞り、④ヒアリング項目を作成する、ことである。
初めに、文献及びパラオ現地調査で、関連するデータを確認し、基礎データの更新を行った。そして、現地で聞き取りした情報と教育基本計画を参考にして、パラオの教育制度全般、女性と教育について概要をまとめた。この内容については、『小島嶼国家の内発的発展と人材育成(1)-パラオ共和国の教育基本計画を参考に-』(廣瀬、2016a)で報告している。次に、近代教育における伝統の位置づけ、女性のキャリア形成についてヒアリングを行い、次年度のヒアリング調査を進める上で注意する点などを検討した。この内容については、『小島嶼国家の内発的発展と人材育成(2)-パラオにおけるアイデンティティと教育-』(廣瀬 2016b)で報告している。これらの基本調査では、概ね仮説のとおりの現象が確認できたが、経年的にその状況が変化している様子がうかがえ、ヒアリングを行う年齢層によってその結果が大きく変わることも予想できた。これらの知見を参考に、調査計画をブラッシュアップした。
ヒアリング項目、調査の決定には、実験経済学の研究者から助言を受けて、実験的に親族間のつながりを確認する手法や社会的価値観を検証するSVO等の知見を反映させた調査項目を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度の計画は、①パラオ政府等から収集・分析し、②パラオの官民から教育と伝統的価値についてヒアリングを行う、③調査対象の女性グループを絞り、④ヒアリング項目を作成する、ことである。
①については、ほぼ予定通りにパラオ現地調査及び文献収集を実施し、基礎データの更新を行う事が出来た。②については、近代教育における伝統の位置づけ、女性のキャリア形成についてヒアリングを行った。③については、現地協力者の支援で、対象グループを概ね絞ることができたが、親族グループの女性たちへのヒアリングは、グループごとの規模を同じくすることが物理的に難しかったことから、本調査に向けて新たな工夫をする必要性を感じた。④については、ヒアリング項目の作成に当たり、実験経済学の研究者の知見と現地協力者の所見を聞きながら、案を作成した。現在も引き続き調整中である。
調査に基づき、パラオの教育制度全般、女性と教育について概要を『小島嶼国家の内発的発展と人材育成(1)-パラオ共和国の教育基本計画を参考に-』(廣瀬、2016a)で報告した。近代教育における伝統の位置づけ、女性のキャリア形成についてヒアリングを行い、次年度のヒアリング調査を進める上で注意する点などを検討した。この内容については、『小島嶼国家の内発的発展と人材育成(2)-パラオにおけるアイデンティティと教育-』(廣瀬 2016b)で報告した。また、パラオ社会の持続的発展と社会に関して、国際開発学会第27回全国大会(広島大学)で報告した。これらの基本調査では、概ね仮説のとおりの現象が確認できたが、経年的にその状況が変化している様子がうかがえ、ヒアリングを行う年齢層によってその結果が大きく変わることも予想できた。これらの知見を参考に、調査計画をブラッシュアップできた。

今後の研究の推進方策

平成29年度の研究計画では、①5グループから各6名の対象者(合計30名)にヒアリングと世帯収入分配の調査を応用した調査シートを用いた調査を実施する。(2週間程度を見込んでいる)②各グループのメンバーで海外生活者に電子メールやSNS機能を利用した追加的ヒアリングを行う。③調査の分析を行い、学会などで報告する。
①については、あらかじめ決めたルールに従って丁寧に実施する。近年、グローバル化の拡大により、小島嶼国であるパラオの社会は急激な変化の最中にある。地域や高齢者、子どもの世話、伝統的な作業などに対する意識も急激に変化していることが予想される。パラオ社会の本質的なところにあるメカニズムと社会環境の変化が動かしている事柄について慎重に見極める必要がある。①②においては、女性の役割を多角的に分析するために男性の役割についても注意して情報収集や聞き取りを行う。③においては、実証的な分析に耐えられるようなデータ収集を心がけ、来年度予定の政策提言に置いて説得力あるエビデンスとなるよう努める。

次年度使用額が生じた理由

予備調査に先立ってインターネットを利用して計画を進めたため、現地での打ち合わせの時間を短縮することができた。そのため滞在日数を短縮できた。また、航空機の選択に当たって、経由地や時間帯を変更調整したところ、リーズナブルな航空便を利用することができた。以上のことから、使用額に差額が生じたが、計画に大幅な遅れはなかった。

次年度使用額の使用計画

予備調査の際に、本調査の対象者が予想よりも広範囲に分布していることがわかった。そのため、本調査のための現地滞在日数を増やすか、あるいは本調査を2度に分けて実施するか検討し、より良質な調査データが収集できるよう調査計画を立てる。次年度使用額については、延長分の滞在費又は渡航費として活用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 小島嶼国家の内発的発展と人材育成(1)-パラオ共和国の教育基本計画を参考に-2016

    • 著者名/発表者名
      廣瀬淳一
    • 雑誌名

      高知大学学術研究報告

      巻: 65 ページ: 139-153

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 小島嶼国家の内発的発展と人材育成(2)-パラオにおけるアイデンティティと教育-2016

    • 著者名/発表者名
      廣瀬淳一
    • 雑誌名

      高知大学学術研究報告

      巻: 65 ページ: 155-169

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 変化させないための積極的な活動を考える-パラオの自然保護区ネットワークとの関連から-2016

    • 著者名/発表者名
      廣瀬淳一
    • 学会等名
      国際開発学会第27回全国大会
    • 発表場所
      広島大学
    • 年月日
      2016-11-27 – 2016-11-27

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公開日: 2018-01-16  

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