研究課題/領域番号 |
16K13142
|
研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
加藤 久美 和歌山大学, 観光学部, 教授 (30511365)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | Hope / Tourism / Sustainability / Disaster Recovery / Empowerment / Youth / Community |
研究実績の概要 |
国際学会発表を3件、国内での研究発表を3件行なった。特にTourism Naturally(2-5, Oct, 2016, Italy)においては、福島の事例をもとに災害復興の初期にツーリズム活動が被災者の精神的支えとして重要な役割を果たしうることを発表した。これは書籍「Tourism and Resilience」の一章として執筆しており、2017年度に出版される。本件研究の基盤の一つであるレジリアンス論を基とした論文「Debating sustainability in tourism: traditional knowledge as resilience: a post disaster perspective」もジャーナルTourism Planning & Developmentに掲載されることが確定している。福島の事例については、飯舘村を中心に震災(原発事故)による避難生活、帰村計画の不明確さなど厳しい状況の中で、どのように希望を見い出していくかが焦点となる。特に神社が村の集合体を支える場所として精神的復興を支える基盤となることに焦点をあてている。本研究は復興過程を見守ると同時に被災者への実質的支援となることを確認しながら進めている。理論的、実践的成果を得ることが本研究の趣旨であるが、それは着実に成果を得ており、今後のフィールド調査でも各事例をもとに、理論的実践的成果を出していきたい。今年は、フィリピン、カンボジアにおけるフィールド調査を中心に途上国における観光開発に関する調査を進めていく。調査の焦点は、若者世代がツーリズムに関わることにより、社会経済的ステータス、自尊心などを向上させ自信、希望を得て行く、また同時に彼らのビジョン、新しいものへの興味や好奇心、テクノロジーを介しての世界とのつながりなどが地域にもたらす相互効果などを調査の中心とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) 時間的制約によりフィールドワーク(カンボジア、フィリピン)を実行するに至らなかった。しかし、国際学会発表を3件、国内での研究発表を3件行ない、理論的成果が得られた。特にTourism Naturally(2-5, Oct, 2016, Italy)においては、福島の事例をもとに災害復興の初期にツーリズム活動が被災者の精神的支えとして重要な役割を果たしうることを発表した。これは書籍「Tourism and Resilience」の一章として執筆、2017年度に出版される。また、本件研究の基盤の一つであるレジリアンス論を基とした論文「Debating sustainability in tourism: traditional knowledge as resilience: a post disaster perspective」もジャーナルTourism Planning & Developmentに掲載される。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年年度は、フィリピン、カンボジアでのフィールド調査等、途上国における観光開発を中心に研究を進めていく。調査事例はSokobike, Phare, Sala Baiの3件を予定している。既にResponsible tourism, Tourism for Tomorrowなどの受賞対象となっているが、正式な調査対象となったことはない。地域のコミュニティ、特に若者のエンパワメントに大きな貢献をしている例として意義深い。調査の焦点は、若者世代がツーリズムに関わることにより、社会経済的ステータス、自尊心などを向上させ自信、希望を得て行く、また同時に彼らのビジョン、新しいものへの興味や好奇心、テクノロジーを介しての世界とのつながりなどが地域にもたらす相互効果などを中心に調査を進めていく。これらを基盤に、「相互の学びによる内的変化、協調による相互の成長をめざす、知識の習得とその方策」と定義されるホープフル・ツーリズム(Pritchard, Mogan & Ateljevic , 2011)を更に発展させていく。これにより、ツーリズムの政治経済、社会文化、環境的背景を理解し、ポジティブで前向きな方策を考察、それをツーリズム、その研究、教育によって実践することをめざしていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
時間的制約によりフィールドワーク(カンボジア、フィリピン)を行うに至らなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、フィリピン、カンボジア等の途上国における観光開発フィールド調査を中心に進めていく。調査事例はSokobike, Phare, Sala Baiの3件を予定している。地域のコミュニティ、特に若者のエンパワメントに大きな貢献をしている例として意義深い。調査の焦点は、若者世代がツーリズムに関わることにより、社会経済的ステータス、自尊心などを向上させ自信、希望を得て行く、また同時に彼らのビジョン、新しいものへの興味や好奇心、テクノロジーを介しての世界とのつながりなどが地域にもたらす相互効果などを中心に調査を進めて行く。これらを基盤にホープフル・ツーリズムを更に発展させていく。これにより、ツーリズムの政治経済、社会文化、環境的背景を理解し、ポジティブで前向きな方策を考察、それをツーリズム、その研究、教育によって実践することをめざしていく。
|