研究課題/領域番号 |
16K13144
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
高澤 由美 山形大学, 大学院理工学研究科, 研究員 (20509054)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | MICE / コンベンションビューロー / 持続可能性 / 価値創成 |
研究実績の概要 |
今年度は、欧州における政策動向、及び地方版MICEのモデル地域としてオーストリアを設定し、オーストリアにおけるMICEの戦略について調査(文献・メールベースの質問調査)を行った。また国内のMICEを取り巻く状況について政策・地域双方の観点から調査を行い整理した。さらに調査対象地である山形県・天童市にて地域資源を活用した小規模国際会議について調査を実施した。 これらの調査・研究から得られた主な成果は下記の通りである。(1)オーストリアでは、MICEの多くを首都圏だけでなく地方で開催している。その背景には、地方での開催を支える体制としくみが構築されていることがわかった。(2)地方の開催を支える仕組みづくりにはオーストリアコンベンションビューロー(ACB)が尽力している。ACBは国内のコンベンション組織をつなぎ、情報等を共有するだけでなく、学びの場をつくることで相互の相乗効果を高め各コンベンション組織の力を育み、地域の付加価値を高めていると推測される。(3)すなわち地域の受け入れ体制を構築し地域の特色を生かしたデスティネーションづくりには、地域のコンベンション関連組織をエンパワーメントするとともに、地域そのものの付加価値を高める支援を行うことが重要であることが示唆される。他方、我が国における動向として、(4)地域資源である温泉旅館を生かしたMICE開催があげられる。旅館そのものがユニークベニューであることから、観光や文化体験に時間を作ることが難しい多忙な参加者は、滞在そのものに日本文化を感じ満足度を高めていることがわかった。(5)旅館では、山形CBと連携して国際会議の経験を重ね、受け入れ数を増やしている。この結果、天童では国際会議の受け入れ支援を目的のひとつとするDMCの立ち上げ等が進められるなど地域全体の受け入れ態勢強化の機運も高まりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外における調査 アジア、欧州における政策動向を中心に調査を継続している。 地方におけるMICEのモデル地域として位置付けているオーストリアへの現地調査はまだ実施できていないが、既往研究の分析、及びオーストリアコンベンションビューロー(ACB)等へコンタクトを取り、メールベースでの調査等を進めている。 国内における調査 国内の政策動向や事例調査(山形県天童市におけるMICEの取り組み)を継続的にトレースしており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本研究をまとめる最終年度である。具体的には以下の調査を進める。 (1)オーストリアでの現地調査を実施し、地方中小都市での開催のオペレーション(質の保証)、誘致におけるブランディング、支援策等について明らかにし検証する。(2)各地域のコンベンションビューロー(9箇所)に調査を実施し、地方中小都市におけるMICE開催に必要な諸条件を明らかにする。(3)天童市では、温泉旅館におけるMICEの開催が周辺地域にどのような影響を及ぼしているのかを調査する。(4)さらに地域旅行会社であるDMCとの連携を調査し、地方中小都市におけるMICE開催支援組織のあり方について考察する。これらのまとめから地方版MICEモデルを提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、欧州での調査を実施することができなかったため、旅費相当分が生じる状況となった。 翌年度は調査を実施するため、その旅費にあてる。
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