研究課題/領域番号 |
16K13145
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研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
岡 達哉 金沢星稜大学, 経済学部, 教授 (40572110)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ユニバーサルツーリズム / ソーシャルツーリズム / ファミリーツーリズム / アクセシブルツーリズム / 教育観光 / 観光政策 / ホスピタリティ教育 / 観光教育 |
研究実績の概要 |
本研究の2年目に当たる平成29年度は、以下の4点の活動を中心に調査研究を進めた。 1.本研究に係る先行研究・先行事例に関する情報収集の一環として前年度に実施した海外事例調査(ソーシャル・ツーリズムの先進的取組みを進めているベルギー政府フランダース観光局の協力を得て、ベルギーのGhent(ゲント)市内で実施。詳細は「平成28年度実施状況報告書」を参照)から得られた情報及び資料の整理、分析を行った。 2.本研究の海外協力者から前年度に入手した、米国におけるファミリーツーリズムに関する調査概要と分析結果の英文資料について解析を進め、国際間比較が可能となるよう、本研究の一環として実施するアンケート調査の調査フレーム及び調査項目についての設計を深化させた。 3.本研究に係るソーシャル・ツーリズムのモデリングの一環として調査を進めた地域事例の研究成果について、観光ホテル経営分野の国際学会であるGlobal Congress of Special Interest Tourism & Hospitality(GLOSITH)の第1回国際大会(2017年6月24日~26日開催)における発表として採択された。 4.平成29年5月30日に改正個人情報保護法が全面施行されたことで、本研究の研究計画作成段階では想定されていなかった個人情報のさらなる適正、厳正な取り扱いに配慮する必要が生じた。そのため、本研究の研究計画に沿ったアンケート調査を実施するに当たっても同法の趣旨に沿ったものとして行われるよう、次年度からの調査実施の適正化、円滑化を期し、同法の改正趣旨等に関する研究を深め、調査手法・調査目的等に関する所要の見直しを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に予定していた「海外協力者からの専門的知識の提供」については、前年度(平成28年度)において、ベルギー政府フランダース観光局の協力を得て現地調査活動を実施したほか、本研究の海外協力者から米国におけるファミリーツーリズムに関する調査概要と分析結果を入手することができ、さらには国際学会での発表を通じて有識者からの示唆を得て調査研究フレームのさらなる精緻化を進めたことにより、実質的に1年前倒しで実施することができた。平成29年度に実施することとしていたアンケート調査については、同年度の改正個人情報保護法の施行を踏まえ、同法の趣旨を十分に検討して慎重に対応することを優先した結果、次年度に実施することとしたが、海外事例の調査分析を前倒ししたことにより、調査フレームに国際的な比較可能性という視点をさらに加味することができたのは大きな収穫であったと考える。 そのほか、平成29~30年度に実施を予定していた地域ステイクホルダーとの調整についても順調に進めている。平成30年度は、研究計画に沿い、ソーシャル・ツーリズムのモデル化に向けた海外研究協力者との意見交換をさらに進めるとともに、研究全般から得られた成果の発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
当初に定めた「研究計画・方法」に沿って調査研究を引き続き進める。 具体的には、平成28年度に得られた先行研究・先行事例及び平成29年度における分析結果並びに改正個人情報保護法に関する研究を踏まえた特段の配慮をもとに、需要面のアンケート調査等の実施、分析を進める。 供給側の調査については、所属大学が地域貢献の一環として関係自治体と研究や交流の推進に向けた各種協定を締結したことなど外部要因の変化も踏まえつつ、モデリングに向け、地域の中核的団体に対する講演・説明会及び意見交換会を本年度当初に予定している。 さらに、ソーシャル・ツーリズムのモデル化に向けた海外研究協力者との意見交換を進めるとともに、平成28年度・平成29年度に引き続き、研究全般から得られた成果の発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年5月30日に改正個人情報保護法が施行され、個人情報を取り扱う「すべての事業者」に同法が適用されることとなり、同法の趣旨を踏まえた調査手法・調査目的等についても再検討の必要が生じた。改正個人情報保護法では「個人識別符号」「要配慮個人情報」「匿名加工情報」等に関する諸規定が新たに追加されたほか、個人情報の利用目的の特定(§15)、目的外利用の禁止(§16)、適正な取得(§17)、取得時の利用目的の通知等(§18)等の改正が行われており、これを踏まえ、本研究の研究計画に基づく調査について入念に検討した結果、本研究では「個人識別符号」「要配慮個人情報」に該当する情報を取得する予定はないこと、「匿名加工情報」に該当する調査データの第三者提供を行う予定はないこと等を再確認する一方で、法の趣旨を踏まえ、利用目的に関する表現をより平易にするよう努めることが適当と思料された。コンプライアンスの視点からの検討に時間を要したことから、本年度の調査を次年度に繰り越し、さらなる適正かつ円滑な実施の確保を目指すこととしている。 (使用計画)「今後の研究の推進方策」記載のとおり、アンケート調査の実施、地域団体との協議のための会議設定、教育旅行プログラム作成に向けた海外研究協力者との意見交換、成果発表等の調査研究活動に係る執行を計画的に進めていくこととしている。
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