研究課題/領域番号 |
16K13147
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
新川 拓哉 千葉大学, 大学院人文社会科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (20769658)
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研究分担者 |
宮原 克典 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (00772047)
西田 知史 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 研究員 (90751933)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 意識 / 内観 / 意識の構造 / 神経現象学 / 現象学 |
研究実績の概要 |
今年度は次の二点についての研究を行った。すなわち、(1) 意識の動的・構造的側面についての現象学的・哲学的分析、(2) 意識の動的・構造的性質を適切に記述するために必要な現象学的反省‐報告能力のトレーニング法の開発、である。後者のトレーニング法の開発は、意識の動的・構造的性質を神経科学の枠組みで研究していくうえで、不可欠だと考えられる。 (1)の成果については次である。現在、科学的意識研究の分野で最も大きな注目を集めている理論の一つである「意識の統合情報理論(Integrated Information Theory of Consciousness)」の詳細な読解と批判的検討をおこない、それを通じて、意識の動的・構造的側面の現象学的分析を進展させた。研究代表者の新川は、2017年3月に北陸先端科学技術大学院大学で開催されたセミナーにおいて、本研究の中間的な成果を発表した。今後は、2017年6月開催の国際会議 The Science of Consciousness 2017で成果発表したのちに、国際誌に論文を投稿する作業を進める。 (2)の成果については次である。錯視図形を用いた自由記述と、Explicitation Interview Method を応用したガイダンスを組み合わせて、意識経験の反省‐記述に必要な能力を養成するためのトレーニング法を開発した。そして、その心理実験によってそのトレーニング法の効果を検証した。その結果、トレーニングの効果は一定程度検証されたが、トレーニング法の細部についてはさらなる改定が必要だということが明らかになった。このトレーニング法については、2017年6月に北京で開催されるAssociation for the Scientific Study of Consciousness(ASSC)の大会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
意識の動的・構造的側面の哲学的・現象学的分析と、そうした側面を神経科学的に研究するための方法論の構築が、どちらも順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
TSCやASSCでの発表とそこから得られるfeedbackをもとに研究を進展させ、意識の動的・構造的側面について現象学的・哲学的に分析した論文と、現象学的反省のトレーニング法についての論文を執筆し、海外のトップジャーナルに投稿していく。また、そのトレーニング法を実施に用いながら、神経現象学的な研究に着手していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度に予定していた国際会議(ASSC 20・ブエノスアイレス)への参加をとりやめ、次年度に開催される会議に参加することを決定した(TSC・サンディエゴ)。それに伴い、関連する予算を次年度に回す必要が出たため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の6月にサンディエゴ(アメリカ)で開催される意識研究の国際会議(TSC)への参加のために使用する。
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