原子力発電についての政策を「討議」つまり社会的な議論・熟議によって行うために、討議に参加するべき「ステークホルダー」(利害を持つ当事者)と、「手続き的正義」(どんな手続きをとることが倫理的に正当なものと言えるのか)を検討した。福島第一原子力発電所事故についての事故調査報告書等の各種文書、学術図書・論文、メディア報道、世論調査、および各種選挙の結果などを総合的に分析し、原子力発電所の運用に関する倫理学的な問題点を整理した。また、福島第1原子力発電所事故から時間が経つにつれ、原子力政策を「討議」の観点から構築しようという意識が、日本社会から希薄になっている状況が現出していることを明らかにした。
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