研究課題/領域番号 |
16K13151
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エコロジカル_エンボディメント / 東洋的身心論 / 現象学 / 理論心理学 / 心の哲学 / フェミニズム |
研究実績の概要 |
H29年度は、7月には台北(台湾)に開催されたInternational Association of Japanese Philosophy 2017 Conferenceにて研究発表を行った。ここでは、平塚らいてうの個体性と種の概念について議論した。8月には、代表者を開催委員長として本務校立教大学にて、国際理論心理学会を開催し、300名の参加者を集めた。ここで本研究テーマを追求したシンポジウムや講演会を複数、オーガナイズし、東洋的・日本的な視点からの理論心理学・哲学的心理学へ貢献した。9月には、日仏哲学会での女性と母性をテーマとした比較フェミニズムのシンポジウムを企画実施した(明治大学)。同じく9月には日本哲学会主催の第5回日中哲学フォーラムを、日本哲学会国際交流委員の主催者のひとりとして実施した(立命館大学)。12月には、オーギュタン・ベルク氏を中心とした日本とフランスの人類学と哲学に関する日仏比較文化研究会を、フランス社会科学高等研究所(パリ、フランス)にて開催し、研究発表を行った。この研究会はこの数年連続して行っており、風土と身体性についての比較文化論的な議論を行った。2018年3月には、日仏女性研究学会、日仏哲学会、日仏会館との共催で『国際女性デー記念シンポジウム、核の時代の個・種・ジェネレーション:私たちの未来をいかに建設するか』を実施し、研究発表を行った。ここでは、日仏哲学会でのテーマと同じく、ジェンダーと身体性の単純に二分割できない人間の実存とフェミニズムの主張との統合の可能性と対立の可能性について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた重要な学会(理論心理学会、日中哲学フォーラム)を成功裏に実施でき、ひとりの研究者として研究発表できたのみならず、全体として本科研費のテーマを当該学会のオーガナイザーとして反映することができた。また、4月以降に計画した日仏哲学会や日仏女性研究学会との共催シンポジウムに置いてフェミニズム身体論をテーマとした近代日本思想を扱うことができ、当初の予定以上に、研究に広がりを持たせることができた。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度は、8月に開催される世界哲学会議を中心に研究を推進する。研究協力者の田中彰吾氏、伊東貴之氏、犬塚悠氏にくわえて、Liao, Chin-Ping氏、Joel Krueger氏でシンポジウムを企画している。ここでのテーマは、東西の心身論を比較して論じることにあり、3か国の観点から新しい心身関係概念の提案を試みる。これらの海外の研究者とは、このシンポジウムとその後を通じて共同研究を深めていく予定である。9月には、日本心理学会で感情に関する文化比較的な研究発表を行う。感情は心理身体的な特徴を持つとされるが、そこには文化的・社会的な構築の要素があり、感情を実体視できないという、これまで3年間の研究に戻づく主張を明示する予定である。また、12月には、パリ(フランス)でChristine Vial Kayser教授の主催する東西芸術言語セミナーで講演会を行う予定である。本年度は、国際的な学会と研究会の機会が多く、これをきっかけに身心論の国際比較研究会の発足を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画どおりに予算を実行したが、若干の残額が出たため、翌年度分に回すことにした。
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