研究課題/領域番号 |
16K13155
|
研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
手嶋 英貴 京都文教大学, 総合社会学部, 准教授 (30388178)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 祭場 / 測量 / 単位 / prakrama / pada |
研究実績の概要 |
ケーララ州、トリシュール県内における調査活動を、2017年3月12日から18日まで実施した。そこでは(1)チャダンガ文献写本の写真撮影、(2)未見写本の所在確認、(3)チャダンガに則って行われるヴェーダ祭式自体のヴィデオ撮影を行った。(1)の活動では、カウシータカ派宗家であるテッキャート家の分家(トリシュール市)において、ソーマ祭のチャダンガなど計3種の写本を撮影した。(2)では、バウダーヤナ派宗家の一つであるパンタル家で、同家が所蔵する写本のリストを入手し、その内容に関するインタビューを行った。(3)では、バウダーヤナ派宗家の一つであるカイムック家(コダカラ村)にて満月祭の全過程をヴィデオ撮影した。また、カウシータカ派のプッティラム家と上述のパンタル家でも、グリヒャ祭としての満月祭であるスターリーパーカ祭の様子を撮影した。 帰国後、この調査に基づく成果の一部として、学術論文"Variations of the Vedic Unit Prakrama (Step) Applied for Measuring Length in the Ritual Site" を執筆し、初稿をドイツのSpringer社から刊行される予定の学術論集に寄稿した(目下、査読審査中)。本論文では、ヴェーダ祭式文献、とくにシュルバスートラが記述する祭場測量用の単位に見られる、文献ごとの概念の相異を明らかにした。そのうち、上記調査に基づく報告部分 "Prakramas in the Kerala Vedic Tradition" では、ケーララ州のヴェーダ伝統における祭場測量単位のうち、ヴェーダ祭式文献の記述から大きく逸脱している要素としてPrakrama単位を取り上げ、その逸脱が生じた背景を論じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査の実施とそこで得た研究マテリアルの内容はほぼ予定通りだった。一方、研究成果の一部(学術論文)をすでに公表プロセスにのせられた点は予想以上の進捗であった。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)調査活動を通じて撮影した写本の分析を進める。 (2)未見ながら今回の調査で所在確認のできた写本の撮影を行う。 (3)チャダンガ文献およびケーララのヴェーダ祭式伝統に関する研究情報の交流を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の旅費(宿泊費、移動の交通費など)が当初見込みより若干低く抑えられたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用差額分に相当する調査日程の拡大を行う。
|