研究課題/領域番号 |
16K13161
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
吉澤 英樹 南山大学, 外国語学部, 教授 (30648415)
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研究分担者 |
江島 泰子 日本大学, 法学部, 教授 (80219261)
長谷川 一年 南山大学, 法学部, 教授 (00399049)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 共和主義の矛盾 / ラリマン / アールデコ / ライシテ / 人種主義 |
研究実績の概要 |
最終年度である平成30年度は、まず共同研究の成果を取りまとめて形にすることを目指した。そのために2018年1月に開催した国際シンポジウムアフリカ・カトリシズム・文化相対主義――ライシテの時代におけるプレ-モダン的徴表のゆくえ」(東京大学本郷キャンパス)の発表者から江島泰子(日本大学法学部教授)と長谷川一年(南山大学法学部教授)を研究分担者に加え、19世紀末から20世紀初頭にかけての共和主義体制に矛盾を生んだ原因となる19世紀のカトリシズムのラリマンの問題やゴビノーやブロカの人種主義を経由した文化相対主義的思考の様相を明らかにすることができた。 そして、現研究分担者の江島と前研究プロジェクトの研究分担者で柳沢史明が研究代表者として進めるプロジェクト「アフリカ美術におけるキリスト教的図像:フランス人宣教師から見た彫刻表現」と共同で編集作業を行い、共編著『混沌の共和国ー「文明化の使命」の時代の渡世のディスクール」(ナカニシヤ出版)を刊行し、第三共和政のライシテや植民地主義に見られる共和主義の矛盾を上記の視点を含めた様々な角度から解明した。 また個人研究としては、上記の状況を反映した文学者における保守的文化相対主義の問題をドリュ・ラ・ロシェルやポール・モランといったモダニズム芸術運動の周辺で活動した保守的な作家の活動に焦点を当て、時代の文脈と対照させながら分析し、論文の形で発表するとともに、当該の主題について触れたポール・モランの1928年発表の短編小説集『黒い魔術』(未知谷)を訳出し、解説をつけたものを刊行した。さらに東京都庭園美術館で開催された展覧会「エキゾティック×モダン-アール・デコと異境への眼差し」のカタログににアールデコにおけるエキゾチシズムにおける保守的文化主義的要素を時代の文脈において論じた記事を寄稿することによって研究内容の周知ならびに成果発表の作業を行った。
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