研究課題/領域番号 |
16K13164
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊東 信宏 大阪大学, 文学研究科, 教授 (20221773)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | チャルガ / ターボフォーク / マネレ / アラベスク / ポンチャック / 演歌 |
研究実績の概要 |
本研究は、1990年代以降、旧東欧の各国で同時多発的に成立した民俗風大衆歌謡(本研究ではそれらを「演歌型」大衆音楽と呼んでいる)の諸ジャンルを、東アジアにおける類似の諸ジャンルと比較しながら考察することを目指している。平成28年度には、ブルガリアにおける「演歌型」大衆音楽である「チャルガ」の研究の先駆者であるV・ディモフ博士(ソフィア大学)とR・ペイチェヴァ博士、日本、韓国、台湾など東アジアの大衆音楽研究における気鋭の研究者、山内文登博士(台湾大学)、セルビアの若い世代を代表する音楽学者、I・ネニッチ博士(ベオグラード芸術大学)など、本研究にとって最も重要な研究者たちとの連携が進み、彼らを大阪大学に招へいして、国際フォーラム「東欧演歌と東アジアのポップフォーク:ユーラシア両端の音楽的平行現象」を開催することができた(平成29年2月14、15日、大阪大学21世紀懐徳堂スタジオ)。 このフォーラムにおいて、前述のゲスト・スピーカーからはそれぞれブルガリア、セルビア、韓国を中心とした「演歌的」ジャンルに関する研究発表を聞くことができた一方で、本研究の連携研究者の大部分(輪島裕介(大阪大学)、新免光比呂(国立民族学博物館)、太田峰夫(宮城学院女子大学)、濱崎友絵(信州大学)の各氏)および研究協力者(斎藤桂(大阪大学)、高岡智子(静岡大学)、クララ・フルヴァティン(リュブリアナ大学講師)、上畑史(日本学術振興会特別研究員)の各氏)による研究発表が行われ、各地域間、各国間の比較のための前提などについて討議した。 これらの研究発表については、すでに論考として初稿が提出されており、今後このフォーラムでの討議を含めて、論集としてまとめる作業を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際シンポジウムについては、当初平成29年度に開催することを予定していたが、東欧や東アジア各国の研究者と円滑に連携を行うことができ、平成28年度中に開催できた。その点では、当初の期待以上に研究の進捗があった。一方で、その会議開催の準備などのため、平成28年度に予定していた台湾などにおける現地調査を平成29年度以降に行うことにした。この点では、当初計画の変更があり、全体としては概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
上記国際フォーラムを中心とする成果を論集として刊行することを、今後の研究推進の主力と考えている。この論集は『東欧演歌の地政学』(仮題)として、すでに出版準備に入っている。またこの出版準備のための国内研究会を開催することも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定で平成29年度に開催予定であった国際シンポジウムを平成28年度中に開催することになった一方、平成28年度に予定していたドイツ、台湾などでの現地調査を翌年度に行うことにしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度分の予算は、同年度中に現地調査を行い、その旅費に充てる予定である。また同年度(最終年度)中に、上記国際フォーラムでの議論を論集として刊行する予定で、その編集作業などにも使用する予定である。
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