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2017 年度 実施状況報告書

イラン音楽における身体性の研究~各楽器固有の身体感覚・語法、その交差~

研究課題

研究課題/領域番号 16K13165
研究機関神戸大学

研究代表者

谷 正人  神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (20449622)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード民族音楽学 / アレクサンダーテクニーク
研究実績の概要

本年度は昨年度に引き続き、音楽家の身体性理解のかなめとなる概念であるアレクサンダーテクニークについては、国内外で数多く調査を行い理解を深めることができた。具体的には5月初旬静岡御殿場でのミートンプソン氏、ナンシーウィリアムソン氏、ジェレミーチャンス氏、ビルウォッシュ氏、片桐ゆずる氏の集中ワークショップ、6月下旬のアメリカシアトルでのキャシーマデン氏の集中ワークショップに参加し、楽器演奏の際の身体の使い方について様々なアドバイスを受けた。(その記録はすべて映像で残している。上記以外の国内での参与観察は月平均2回ほどの頻度でおこなった)。その結果このアレクサンダーテクニークはつまるところ、身体の問題は、身体だけではなく周囲の環境とのつながり方によって左右されるものであることに思い至った。実はこの考え方は民族音楽学では既知であるミュージキング概念に非常にちかい。アレクサンダーテクニークもミュージッキングもともに、音を音としてだけとらえようとするのではなく、まずは身体、そして身体以上にそれを包み込む環境全体と音楽を考えようとしているという点において非常に近いものがある。この気付きに基づいて、本研究は、演奏家コミュニティという環境のなかで、個々人は即興の技能をどのように発達させているのか。集団が持つ多層的秩序の網の目という環境の中で、一個人がどのように他者との相互行為によって、即興演奏というコミュニケーション形態を発達させているのかを探るという、身体性という本研究のテーマを含むより上位の研究概念の設定へと至り、8月~9月にはイランにおいてはサントゥールはアルダヴァーン・カームカール、スィヤーヴァシュ・カームカールの各氏、ネイはファルハード・ビーナーイー氏キャマーンチェはチャカード・フェシャーラキー氏の各氏から各楽器の身体性に関する情報収集を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アレクサンダーテクニークに関する2回の集中的ワークショップ参加に加えて、イランにおいても1か月の調査を行うことができたため。

今後の研究の推進方策

引き続き継続的なアレクサンダーテクニークについての理解と、イランでの現場参与観察を行い、集団が持つ多層的秩序の網の目という環境の中で、一個人がどのように他者との相互行為によって、即興演奏というコミュニケーション形態を発達させているのかを探るなかで身体性というテーマをより有効に位置付け、最終年度の報告書作成を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 伝統文化における学びのプロセス:イランを事例に2018

    • 著者名/発表者名
      谷正人
    • 雑誌名

      神戸大学大学院人間発達環境学研究科紀要

      巻: 11-2 ページ: 75-79

    • 査読あり
  • [学会発表] 小泉文夫とペルシア音楽2018

    • 著者名/発表者名
      谷正人
    • 学会等名
      民音音楽博物館文化講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] イランのサントゥールとインドのサントゥール ―その共通性と相違性―2017

    • 著者名/発表者名
      谷正人
    • 学会等名
      関西イラン研究会第49回研究会
  • [学会発表] 打弦楽器の調律機構および奏法をめぐる考察 ――インドとイランのサントゥールを例に2017

    • 著者名/発表者名
      谷正人
    • 学会等名
      2017年度南アジア研究国立民族学博物館拠点「音楽・芸能班」第1回研究会
  • [学会発表] 指から音楽を理解すること―サントゥールとセタールの比較から2017

    • 著者名/発表者名
      谷正人
    • 学会等名
      研究プロジェクト「音楽する身体間の相互作用を捉える――ミュージッキングの学際的研究

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公開日: 2018-12-17  

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