研究課題
挑戦的萌芽研究
古代・中世仏画の基底材をなす絵絹については、時間軸による変化がある。その具体的な変化の様相について調査研究を進め、絵画様式の変化とどのように対応するかについて、研究の視点を整理することを目指した。その結果、絵絹の絹目は大きな時間の流れの中で、次第に密から疎に傾く状況を確認することができた。様式史的特色と合わせて考察すれば、作品の制作年代判断にも有効であると結論づけることができる。
日本仏教絵画史
本研究のテーマはまだこれまで試みられたことがない絵画の基底材の通史的研究である。美術作品の特質は、表現の特色が上層をなし、素材の特色が下層をなしている。その素材の根幹ともいえる絹地の時代的変化の概要が明らかにできれば、作品の位置付けがさらに深められる。美術史の研究のはばを広げる意味でも、今後その意義が認識されるであろう。また文化的遺産への素材論への取り組みを鼓舞することになると考える。