研究課題/領域番号 |
16K13176
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館 |
研究代表者 |
坂口 英伸 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, その他部局等, 研究員 (00646440)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | タイムカプセル / 日本万国博覧会 / BBC(英国放送協会) / Castle Howard |
研究実績の概要 |
2016(平成28)年度の調査は、日本と英国のタイムカプセルの影響関係について調べた。調査対象は、1970(昭和45)年の日本万国博覧会の「タイム・カプセルEXPO'70」と、1982 (昭和57)年にBBC(英国放送協会)が制作した「BBC Time Capsule」である。「BBC Time Capsule」は「タイム・カプセルEXPO'70」がそのモデルとなっていると申請者は考えている。「BBC Time Capsule」は「タイム・カプセルEXPO'70」からの影響が大きいと思われる。本年度はこの両者の影響関係の分析に力点を置いた。
「BBC Time Capsule」は、ヨーク市郊外のカースル・ハワード(Castle Howard)に所在のカントリーハウスの敷地内に埋められている。このカントリーハウスは、現在でもハワード家が居住する屋敷である。タイムカプセル埋設時のBBCのチェアマンは、ハワード家出身のジョージ・ハワード(George Howard)であった。その埋設期間は2,000年。一方の「タイム・カプセルEXPO'70」は、日本万国博覧会(大阪万博)の際に、毎日新聞社と松下電器産業株式会社(現在のパナソニック株式会社)が協同して制作し、1971(昭和46)年に大阪城公園内の地下に埋められた。埋設期間は、5,000年。
両者の間にどのような影響関係が存在するのか。両者の具体的な影響関係については、今後、論文等で発表の予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査はおおむね順調に進展している。
日本人による「BBC Time Capsule」の本格的な調査は、本研究が初めてだと思われる。英国での現地調査は、ロンドンに在住のタイムカプセル研究者で、「BBC Time Capsule」の調査も行った経験もあるブライアン・ダランズ氏の協力を得て進めることができた。ダランズ氏は、国際タイムカプセル学会(International Time Capsule Society)の設立者で、タイムカプセル研究の第一人者である。調査はまた途上にあるが、今後も必要な情報収集は続け、「BBC Time Capsule」と「タイム・カプセルEXPO'70」の関係性について、より深い考察を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2016(平成28)年度の調査は、日本と英国のタイムカプセルの影響関係に重点を置いたが、2017(平成29)年度は、日本と米国のタイムカプセルとの影響関係の調査を中心に行いたい。
近代日本のタイムカプセルは、海外のタイムカプセルに影響を与え、それと同時に逆に海外のタイムカプセルからも影響を受けてきた。特にタイムカプセル誕生国である米国からの影響は多大で、米国の存在抜きにして近代日本のタイムカプセルの調査を行うことはできない。
今年度は、1930年代の米国のタイムカプセルとして、ハーバード大学の創立300年記念祭における「タイムカプセル手紙」と、オグルソープ大学の「文明の地下室(Crypt of Civilization」を調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016(平成28)年度の調査として英国出張を行ったが、ポンドの貨幣価値の変動により、事前の収支予定に少しの誤差が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
2016(平成28)年度の残額は2017(平成29)年度へ繰り越し、無駄遣いをなくし、配分された研究費を効率的に使用したいと考えている。
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