世界各地の大衆音楽の中で「日本」が表象される仕方を比較研究し、少なくとも環太平洋圏で、それぞれの文脈を伴って同時代的に受容され、ローカルな音楽実践と相互作用してきたことを明らかにした。そのことは、しばしば考えられがちなように、日本の大衆音楽が、単なる米英の主流的ポップ音楽の模倣でも、一国のなかで完結したドメスティックなものでもなく、20世紀後半における大衆文化の国境を越えた伝播のネットワークの中に位置づけられるものであることを明らかにし、より実証的かつ建設的な大衆文化をめぐる対話の可能性を拓くものである。
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