研究課題/領域番号 |
16K13188
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
山中 千恵 仁愛大学, 人間学部, 准教授 (90397779)
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研究分担者 |
伊藤 遊 京都精華大学, 付置研究所, 研究員 (70449552)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 学習マンガ / ポピュラー文化 / 教育 / メディア研究 / マンガ史 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歴史や科学知識を伝達する目的で描かれ教育現場で活用されるマンガ、いわゆる「学習マンガ」の制作現場を調査し、表現構造及びメディア史、制作過程の分析をすることを通じて、マンガの社会的位置づけや、それと連動しながらマンガ表現が導く歴史認識や社会意識の構造を明らかにすることにある。具体的には、(A)学習マンガの現状と歴史の把握、(B)戦後発展期のジャンル確立過程の特質把握、(C)海外の類似表現との国際比較を行い、学習マンガの全体像を描くことを目的とする。 平成28年度は、①学習マンガを発行する出版社(学研ホールディングス、集英社、朝日新聞出版社等)の編集者、作画家、監修者や、ジャンル発展期のスタッフへのインタビュー調査を実施するとともに、②学習マンガとして出版されているマンガの現在までの書誌データ・資料リストの作成に着手した。①に関しては、現在学習マンガ発行にかかわる編集者や作家への主たるインタビューを終えることができ、発展期のスタッフへのインタビューも予定されている。また、②に関しても、データリストの概略を作成することができた。今後は一層の精緻化を必要とする。また、29年度の予定であった③韓国・フランスの「学習マンガ」的表現の整理・分類と現場へのインタビューであるが、韓国の学習マンガ編集部へのインタビューを実施することができた。これらを通じて、(A)学習マンガの現状と歴史の把握、の前半と(C)海外の類似表現との国際比較の第一歩が踏み出せた。 韓国調査の結果は仁愛大学紀要論文としてまとめた。また、『マンガ・アニメで論文・レポートを書く:「好き」を学問にする方法』(山田奨治編、ミネルヴァ書房)に収録された論文の一部として、学習マンガデータリストを活用できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度は、①学習マンガを発行する出版社(学研ホールディングス、集英社、朝日新聞出版社等)の編集者、作画家、監修者や、ジャンル発展期のスタッフへのインタビュー調査を実施するとともに、②学習マンガとして出版されているマンガの現在までの書誌データ・資料リストの作成に着手する予定であった。 ①に関しては、現在学習マンガ発行にかかわる編集者や作家への主たるインタビューを終えることができ、発展期のスタッフへのインタビューも予定されている。また、②に関しても、データリストの概略を作成することができた。今後は一層の精緻化を必要とする。また、29年度の予定であった③韓国・フランスの「学習マンガ」的表現の整理・分類と現場へのインタビューであるが、韓国の学習マンガ制作現場での一部インタビューが実現しもした。以上のことから、研究はおおむね計画通り進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は①学習マンガを発行する出版社(学研ホールディングス、集英社、朝日新聞出版社等)の編集者、作画家、監修者や、ジャンル発展期のスタッフへのインタビュー調査を継続するとともに②学習マンガとして出版されているマンガの現在までの書誌データ・資料リストを精密化していく予定である。加えて、③韓国・フランスの「学習マンガ」的表現の整理・分類と現場へのインタビューについても実施していきたい。また、①から③でえられた成果を、順次発表・公開していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に実施予定であったインタビューを、インタビュー対象者の都合により次年度はじめへと変更することとなった。それにともなうテープ起こし費用等が計上されていない。また、予定していた海外研究者との研究会も次年度に実施することとしたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
予定していたが、年度内に実施できなかったインタビュー調査を実施し、テープ起こしを実施してデータを整理するとともに、海外調査の実施や海外研究者との研究会の実施を行う予定である。
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