研究課題/領域番号 |
16K13190
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
エグリントン アンドリュー 甲南女子大学, 文学部, 講師 (30707948)
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研究分担者 |
エグリントン みか 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50632410)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 広島 / 福島 / 核 / カタストロフィ / トラウマ / 演劇 / 舞台芸術 / 表象 |
研究実績の概要 |
平成28年度の研究業績として、英字新聞"The Japan Times"に掲載された演劇批評3本、査読付き学術英文雑誌1本、発表論文2本の合計6本を計上した。 アカデミアを超えたより広範な読者に向けて、同じ舞台は二度と繰り返されない一回性と、常に変化し続ける現在進行形を特色とする舞台芸術を言語化・記録化する有効な手段として、The Japan Times"に劇評を寄稿している。その中でも、Ishinha set for stunning final show" 27/9/16; "Kyoto Experiment festival revels in breaking barriers" 25/10/16; "T-C-T and TPAM set to offer a hot winter’s feast of the arts" 24/1/17の三本は、本研究のテーマに合致した劇評となった。 加えて、3.11後の日本の 社会的状況と演劇表象の関係性を、る野田秀樹翻案・宮城聰演出SPAC演出『真夏の夜の夢』を中心に分析した英語論文"“Thou art translated”: Remapping Hideki Noda and Satoshi Miyagi’s A Midsummer Night’s Dream in Post-March 11 Japan'が、査読付き学術雑誌"Multicultural Shakespeare: Translation, Appropriation and Performance. Lodz University Press, 2016: 51-72.に掲載された。 合わせて、アジアと日本の演劇動向を比較し、紹介する発表を、アジア女性舞台芸術会議と芸術公社Scene/Asiaにて各々発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究業績に示したように、「From Hiroshima to Fukushima: Japanese Performing Arts After 3.11」の研究は、当初の計画通り、おおむね順調に進んでいる。 この研究の成果は、公式ウェッブサイト http://www.andreweglinton.com/after311/ においてアーカイブ化されると同時に、一般に公開されている。
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今後の研究の推進方策 |
常に変化し続ける演劇動向に伴走しなから研究活動を行い、"The Japan Times"など日英の二ヶ国語で研究成果を発表していくと共に、舞台芸術作品やそれを巡る会議、シンポジウム、記録集を企画していく。 目下、ニューヨーク在住のパフォーミング・アーティストEiko Otake氏に関するインタビュー記事がThe Japan Times Sundays に2017年6月中に掲載予定である。平行して、彼女の3年計画プロジェクト"Bodies in Places: Fukushima"に焦点を当て、"tracing performance in places without trace"という観点から、避難地区にて行われた観客のいないパフォーマンスを記録した写真ドキュメントを分析した成果を論文としてまとめる予定である。 同じく6月には、ベトナムの首都ハノイを拠点に活動する映像作家Nguyen Trinh Thi (グエン チン チー)氏をエグリントンみかの勤務校である神戸市外国語大学に招聘し、3.11直後の東京で撮られた「Jo Ha Kyu」(2012年)、少数民族チャム族が住むNinh Thuanにベトナム政府が同国発の原子力発電所を建設しようとする計画を事実と虚構を織り交ぜながら描写した「Letters from Panduranga)」(2015年)という核の脅威を、日本とベトナムの文脈から政治的かつ誌的に捉えた二作品を上映する。その直後に、1995年に震災による多大な打撃を受けた神戸市長田区にNguyen氏を始めとした東南アジア各国からの芸術家とプロデューサーを招聘し、東京で行われるアジア女性舞台芸術会議にて芸術と社会の接点に関する講義と討論会を開催する。これらの成果を11月に同地で行われる下町芸術祭にて視覚化したのちに、論文として言説化し、発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者は本年度、京都の演劇のプロダクションを見に行く予定であったが、次年度に開催される予定の演劇のプロダクションがあり、申請者の研究に強く関連していることから、本年度の予算を繰り越して次年度に使用することとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究代表者は次年度に開催される予定の演劇のプロダクション「京都国際舞台芸術祭2017」に参加する予定であるため、その旅費や参加費に予算を使用する予定である。そこでは日本人のアーティストのみならず、海外のアーティストとの繋がりを作る機会とする予定である。さらには、「京都国際舞台芸術祭2017」の記事を作成し、その内容を幅広く発信するため、Japan Timesなどに投稿する予定である。
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