研究課題/領域番号 |
16K13195
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
小秋元 段 法政大学, 文学部, 教授 (30281554)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 古活字版 / 朝鮮活字版 / 書誌学 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年さまざまな議論のある日本の古活字版の起源について、朝鮮活字版との関わりを追究することにより、解明をめざすものである。特に、日本の古活字版研究に比べ、韓国における朝鮮活字版研究は進展を見せており、その成果を取り入れることが重要であると考えている。よって、平成28年度は韓国の活字版研究者との連携を深め、彼らの近年における重要な研究成果のいくつかを特定し、その受容に努めた。具体的には、平成28年8月30日・31日にソウルを訪問し、韓国国立中央博物館学芸研究官・李載貞氏と面談し、同氏の研究成果の吸収に努めるとともに、今後の共同研究の方向性を協議した。その後、清州古印刷博物館学芸研究室長・黄正夏氏とも連携し、李載貞氏・黄正夏氏の研究成果の日本語訳を進めた。その結果、朝鮮活字版研究の近年の成果と課題(活字鋳造法、植字、印刷の具体)、朝鮮活字版と日本古活字版の関連性(朝鮮活字の各種の字体と日本古活字の字体との関連性)について新たな知見を得ることができた。そして、平成29年2月25日には、李載貞氏・黄正夏氏を東京に招き、法政大学において「朝鮮活字版研究の最前線」と題するワークショップを開催し、これら知見を日本の書誌学研究者(約35名)に公表し、意見交換を行った。当日は李氏・黄氏の研究成果の日本語訳を配付したが、こちらは平成29年度さらに精選し、報告集のかたちにまとめて刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は韓国の活字版研究者との連携を図り、その成果を日本語訳し、日本の研究者へ提供することにより、日本の古活字版の起源に関する議論に寄与することを目的としている。平成28年度には、韓国人研究者2名と連携し、その研究成果を日本語訳することができ、加えて、彼らを東京へ招いてワークショップを実施できたため、当初の予定どおり順調に研究が進んでいるものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度、韓国人研究者の論文を日本語訳したが、今後はその内容をさらに精選し、研究報告集のかたちで刊行する予定である。また、朝鮮活字版の起源に関する論考を含む代表者自身の研究成果を図書のかたちで刊行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に韓国人研究者を招聘したワークショップを実施した。実施にあたり、旅費・滞在費・謝金を支出するべく、余裕のある経費執行を心がけてきたため、若干の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
韓国語論文の日本語訳を進めるため、法政大学大学院に在籍する韓国人留学生への謝金に重点を置き、使用してゆく予定である。
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