研究課題/領域番号 |
16K13201
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
長瀬 真理子 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (80636506)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 無記名印刷者同定 / 書誌学 |
研究実績の概要 |
28年度は、今年度配分の全額をEarly English Books Online (EEBO)のアクセスライセンス購入にあてたため、英国図書館における実地調査が行えなかった。EEBO導入前の年度前半は、研究対象としている二人の印刷者の関与が疑われる無記名印刷本のファクシミリを収集し、それぞれの版本に使われている活字フォント、組版の規則性について調査を行った。組版の規則性に関する調査は、当該版本における分担印刷者の有無を判断する材料となる。これまでの調査で、English Short Title Catalogue上、ウィリアム・ウィルソンが印刷者として登録されている版本の複数ページに、別の印刷所で用いられた欠損活字、欠損装飾文字と同一のものが使われていることがわかっている。組版の規則性を調べることで、この版本が、登録されている人物とは別の印刷者の監督下で一貫して印刷されたものか、あるいは、問題の活字が見つかったページを含む一部のみ分担されたものであるかが判断できる。ファクシミリを用いた調査では活字の細部を見ることはできないが、各ページで用いられたフォントの違い、版面の文字および行数から、組版の規則性に検討をつけることが可能である。結果、別の印刷者が一貫して当該版本の印刷を担当したという結論に至った。 また、EEBO導入後は、29年度に予定している印刷者不明の印刷物9点中の数点について、印刷者ウィリアム・ウィルソンの使用中に欠損した装飾文字が使用されていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績で述べた通り、28年度は稀覯本図書館における実物調査が行えていない。このため、活字や紙の詳細な調査が後回しとなっている。現地調査が行えなかった理由はEEBOのアクセスライセンス購入を優先したためである。ファクシミリを用いて行う調査に関しては、他大学に複写を依頼し、取り寄せる過程に時間がかかり苦心してきため、今回EEBO導入を見送ることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
EEBO導入により、ファクシミリを用いて行う研究に関しては、はるかに時間を短縮できるようになった。このため稀覯本図書館で現物調査を行うまでのファクシミリを用いた準備に関しては、年度計画によらず、遂行可能な仕事を先に進めることとする。
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