本研究は、アメリカ文学研究で看過されてきた「イスラーム」の視点による「アメリカ文学のイスラーム」研究である。例えば、アメリカ人作家ポール・ボウルズと〈翻訳文学〉研究における北アフリカ・モロッコ社会でのイスラーム表象は、イスラーム・人類学が分析対象とする〈ネイティブ・インフォーマント(現地の情報提供者)〉論と通じるものがある。そのため、隣接学問分野に貢献し、「英語文学」や「世界文学」に通底する学術的意義がある。 また、「アメリカ文学のイスラーム」研究は、上記のモロッコ社会のようなイスラーム社会を追究することにもなり、アメリカ文学という学問領域に新たな可能性が広がり、学術的に社会的意義がある。
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