ディドロ=ダランベール『百科全書』(1751-1767) 本文の基礎的校訂方法論の確立をおこなった。特にこの研究では、同時代フランスおよびイギリスを中心とした叢書・類書を取り上げて、源泉批判論に基づく本文形成論を考察した。いかなる具体的な資料群が『百科全書』に用いられ、どのように引照・書承されたのか。これまで十分に解明されてこなかったその実態、また作権史、書承史および編集史など、本文を囲繞する18 世紀に固有の歴史的諸問題と本文批判の問題を接続させることによって、伝統的な文献批判論を凌駕する歴史的な地平のうちに『百科全書』本文批判論を再定位した。
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