研究実績の概要 |
叙事詩的作品『プロセルピナの略奪』の読解とその先行研究の批判的検討を行ない,その際、現行の2冊の注釈書、J. B. Hall, ed., Claudian: De Raptu Proserpinae, Cambridge at the University Press, 1969 / Claire Gruzelier, ed., Claudian: De Raptu Proserpinae, Oxford: Clarendon Press, 1993を再検討し、プラトナウアーの英訳、シャプレの仏訳と注解、セルパの伊訳と注解を参考にした。『プロセルピナの略奪』を神話を題材にした叙事詩の伝統の中に位置付け、Catherine Wareが、Claudian and the Roman Epic Tradition, Oxford University Pressが強調したウェルギリウス『アエネイス』との関係を確認しながらも、オウィディウス『変身物語』の影響がより濃厚で、重厚な叙事詩に娯楽性を持たせた作品であることを明らかにする準備が整った。一方、業績として1.「セネカの悲劇『メデア』の第一合唱隊歌と祝婚歌の伝統」、WASEDA RILAS JOURNAL、 No.4(早稲田大学総合人文科学研究センター)、pp.169-181、 2016/2.「クラウディウス・クラウディアヌス『パッラディウスとケレリナの祝婚歌』 牧歌的ヴィジョンをめぐって」、『比較文学年誌』(早稲田大学比較文学研究室)52、 pp.16-33、2016の2点を公表し、次年度に予定していた祝婚歌に関する研究が先行した。2017年3月発行の『西洋古典学研究』(日本西洋古典学会)に上記Wareの著書に関する書評を掲載できた。フィレンツェに研究出張することにより古代石棺の図像と本研究の関係への理解を深めた。
|