『辟疆園杜詩註解』は、日本において、江戸期に刊行された杜甫の注釈書の一つである。江戸期の人々が杜詩に関心をもっていたことは従来から指摘されていることではあるが、どの程度、関心が高かったのかは、具体的に不明な点が多い。『辟疆園杜詩註解』は中国において、銭謙益と関わりがあったことから、乾隆帝以降禁書の憂き目にあうが、日本においては、そうした弊害がなかったため、刊行されていたことがわかる。『辟疆園杜詩註解』が江戸期で刊行されたことは、日本人も『辟疆園杜詩註解』に価値を見出していたことを裏付ける。本研究を通して、日本人の鑑識眼の優れていたことを明らかにすることができた。
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