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2018 年度 実施状況報告書

色語の習得が難しい理由――色語彙システム創発と発達過程の多言語比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K13224
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

今井 むつみ  慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (60255601)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード心理言語学 / 色語
研究実績の概要

前年度までに、2~4歳児を対象にして、典型色である赤・黄・緑・青・紫・茶・オレンジ・ピンクの8色について、複数回同一児に対し理解課題と産出課題を実施した。理解課題は、8色の色チップの中から「〇〇色のチップを取って」と教示し、対象児が該当する色チップを選択できるかどうかを調査した。本年度は、そのうち理解課題に関する分析を進めた。理解課題において前の回に、8色のどの色語の正解パタンから次の回の特定の色(8色のうち1つ)の正解パタンをロジスティック回帰モデルで分析した。この際、説明変数を前の8色の正解/不正解0,1と切片とし、独立変数を次の1色の正解/不正解とした。前の回の調査で色語が正解の時に、次セッションで色点の色が正解であることと有意(t検定, 5%水準)に相関している。その結果、「赤」が「黄」に、「黄」が「青」に、「青」が「赤」に先行する形で、「赤」「青」「黄」の3色が相互に理解を助け合う形を形成している。さらに青を除く7色の色語については、前の回の理解課題においてその色を正解した場合に、次の回に有意に正解となった。このことは、「青」という色語だけが「青のチップ」を選択できることが必ずしも次の回も「青のチップ」を選択できる訳ではないことを示している。日本語においては、青信号・青菜・青い山を初めとする知覚的には「緑」のカテゴリーに属する知覚対象に対し「青」という色語が用いられる。これは、緑と青との混同を招くことが想像され、「青」と「緑」が相互に相関が高く、「青」の正答が「緑」の正答に先行するとともに、「緑」の正答が「青」の正答に先行し、混同から脱却するという過程が考えられる。この結果は、「青」という知覚的に顕著性が著しく、普遍性が高いと思われるような、初期に容易に獲得されうると思われる色語においてさえ、日本語の語彙特性が影響することを示す結果であったといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日本における幼児の色語彙に関する調査は終了しており、分析を進めている。日本語だけでなく、シダーマ語などの他の言語体系における色語彙に関するデータを収集済みである。

今後の研究の推進方策

分析および体系化をまとめ、随時論文として成果を公開する。

次年度使用額が生じた理由

データの収集は終了しており、データ分析と学会発表、論文執筆公開を順次進める準備をしている。次年度は主に成果公開のための旅費等に支出予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Temple University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Temple University
  • [学会発表] Symbol grounding and system construction in the color lexicon.2018

    • 著者名/発表者名
      Imai, M. Hidaka, S. Saji, N. & Ohba, M.
    • 学会等名
      The 40th Annual Meeting of the Cognitive Science Society
    • 国際学会
  • [備考] 今井むつみ研究室

    • URL

      http://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/imailab/

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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