研究課題/領域番号 |
16K13229
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
相良 啓子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 特任助教 (90748724)
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研究分担者 |
原 大介 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00329822)
菊澤 律子 国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 准教授 (90272616)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 手話言語学 / 日本手話 / 台湾手話 / 韓国手話 / 記号化 / 音韻変化 |
研究実績の概要 |
本年度は、7月20日から8月6日にかけて、韓国にてフィールドワークを行った。2016年度に実施したソウルでの調査に加えて、釜山、済州島で同様の調査を行い、地域変種が見られるかどうか検証した。その結果、釜山、済州島においても、ソウルから教員が派遣されたり、話者自身がソウルで教育を受けるなどの教育的背景を受けて、韓国手話は、日本手話、台湾手話と比較すると、地域変種が少ないことがわかった。 8月22日から25日にワルシャワで開催された「SIGN9 conference」で研究成果を発表した。そこでは、数詞、親族表現の手話語彙に、融合、消失の音韻変化が起こったことを示した。また、台南では、古くから日本で使用されている数表現が今でも使用され続けられていることがわかり、比較的変化が遅いことが推測された。 11月18日に、第157回日本言語学会では、「日本手話、台湾手話、韓国手話の語における意味の変化」について発表を行った。音声言語では、意味の向上・下落・拡大・縮小・分岐・推移など様々な種類の変化が知られているが、手話言語においても、意味の縮小・拡大・意味の分岐がみられることを示した。さらに、利き手の手のひらを非利き手の腕に沿って上から下へなでるように動かす表現と、非利き手の甲を利き手の手のひらで腕側にこすり挙げる表現は、ともに三言語すべてでみられるが、それぞれ意味が様々であり、分岐後に意味変化がおこったことがわかった。日本言語学会での発表にあたっては、分担研究者の原、菊澤とも議論を行った。 「Variation, change and historical relationships among signs for days of the week in the Japanese Sign Language family」のタイトルで執筆した論文が、『Calendric Terms in Sign Languages』(Mouton de Gruyter:2019年発行予定)に、掲載される予定である。
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