正確かつ網羅的な意味記述のためには、真理条件のみならず、価値に関する表示も必要であることを明示化した。特に高度情報化時代における言語コミュニケーションでは、主張や報告、観察などの真偽ばかりでなく、肯定・否定などの表現価値やそれが惹起する受け手が抱く感情なども大きな意味効果を持つものであり、例えばSNSなどでの意思疎通上のもつれや、いわゆる「炎上」などでは、表現の価値やそれが与える感情が真偽よりも大きな要因ともなっている。本研究は意味論の精緻化への貢献のみならず、円滑な言語コミュニケーションを行うための基礎理論を提供しているものとして意義があると思われる。
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