研究課題/領域番号 |
16K13236
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
寅丸 真澄 早稲田大学, 日本語教育研究センター, 准教授(任期付) (60759314)
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研究分担者 |
作田 奈苗 聖学院大学, 基礎総合教育部, 講師 (80648014)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 短期日本語プログラム / ビジネス日本語 / PBL / インタビュー調査 / ビジネス教科書・教材調査 / 実践研究 |
研究実績の概要 |
29年度は、まず、PBLを用いた短期ビジネス日本語プログラムの実践について、コースデザインという観点から整理、報告した。一方、現在のビジネス日本語教育において期待されている教材と短期プログラムのありようを検討するため、前年度のパイロット調査に続き、教材のシラバスという観点からビジネス日本語教材の調査分析を行い、その歴史的変遷を明らかにするとともに、その将来的可能性を展望した。本調査では、言語知識や言語技能だけではない、ビジネス場面で必要とされている多様なビジネス能力を養成する教材開発の実態とその可能性が示唆された。次に、そのような教材の重要な要素として本研究が捉えるPBLの可能性を検討するため、これまで様々な観点から論じられ実践されてきたPBLに関して、ビジネス日本語教育の観点から歴史的、理論的整理を行った。これにより、PBLの理論的根拠とビジネス日本語教育における利用可能性が確認された。さらに、このようなPBLを用いた短期ビジネス日本語プログラムに参加した学習者に対するインタビュー調査を行い、PBL体験による学びの実態を調査した。その結果、自国では得難い実体験を通して、日本企業や企業文化に対する理解を深めたり、固定観念を弱めたりしていることが明らかになった。そして、このようなPBLの日本語授業での有効性を検証、共有するため、日本語教師を対象にPBLを含めたアクティブラーニングのワークショップを行った。なお、本ワークショップにおいては、アクティブラーニングにおけるICTの効果的な利用方法も取り上げた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の核となるPBLの理論的研究、ビジネス日本語教材研究などは終了したが、短期ビジネス日本語プログラム参加学習者と海外教師に対するヒアリング調査のデータ分析は、より明確な分析結果を得るため、分析手法を模索しながらの作業になり、現在進行中である。また、海外事情の調査については、対象範囲が広いため、調査結果の傾向が曖昧になることが懸念される。従って、今後は調査対象範囲と対象者を選定する必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
短期ビジネス日本語プログラム参加学習者と海外教員に対するヒアリング調査のデータ分析は現在進行中である。短期ビジネス日本語プログラム参加学習者については、インタビューを終了し、ライフストーリー・インタビューの手法で分析したが、プログラムや教材の作成に利用できるような明確な分析結果を得るには、他の手法を用いた分析が必要である。今後は、他の分析手法を検討、実施していく予定である。また、海外事情の調査については、対象範囲を広げることより、対象国を限定して確実な情報を得ることを優先することが重要であると考える。今後は、対象国と対象者の選定し、調査を継続する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた海外出張などが延期されたこと、及び人件費が当初予定より下回ったため今年度使用予定額と実際使用額に差異が生じ、次年度使用額が生じたが、旅費及び人件費については翌年度使用する予定である。
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備考 |
本研究成果を踏まえたワークショップ「早稲田大学日本語研究実践ワークショップ アクティブラーニングで学ぶ―ICTを利用した日本語教材づくりと授業づくり」(2017年12月~2018年1月)を実施。
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