研究課題/領域番号 |
16K13246
|
研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
中山 誠一 実践女子大学, 文学部, 准教授 (10552763)
|
研究分担者 |
古本 裕美 長崎大学, 国際教育リエゾン機構, 准教授 (80536326)
濱田 陽 秋田大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00588832)
山内 博之 実践女子大学, 文学部, 教授 (20252942)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | VAシャドーイング / ビジュアル・シャドーイング / シャドーイング / 漢字の読み方 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語の聴解力育成のためのVAシャドーイング法を開発することにある。研究期間は、大きく分けて①VAシャドーイング教材の作成・パイロット調査期間と、②本調査期間に分割される。平成28年度は、前期、中期及び後期に分け、前期を言語材料の選定と開発、中期をパイロット調査、そして後期を実験結果分析と実験計画の見直し期間に設定する。作成した言語材料または実験の実施方法に不具合や調整が必要になる可能性があるため、後期に調整期間を設けた。実際には、中山(2016)を参考に、前期と中期に日本語VAシャドーイング用のパイロット調査の一部を行なった。後期には、中期に実施できなかったパイロット調査を行った。具体的には作成した教材を作成し、漢字圏学習者14名と非漢字圏学習者9名を対象に、3群(VAシャドーイング群、ビジュアル・シャドーイング群、シャドーイング群)を設定しどの方法が、漢字の読みの学習を促進するかについて検討した。その結果、予想に反して、VA群とビジュアル・シャドーイング群は、シャドーイング群と比較して同等程度漢字の読みの学習を促進することが判明した。VAシャドーイング群同様にビジュアル・シャドーイング群の成績が伸長した要因は、ビジュアル・シャドーイング群用の教材に用いたフリガナが音声と同様の役割を果たすことであることが判明した。以上の実験結果については、2016年8月にインドネシアで開催された国際日本語教育学会と同年10月に高知で開催された日本教育心理学会第58回総会にて発表を行った。ただし、後期に行ったパイロット調査結果については現在分析中であり、結果は29年度に学会にて発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、実施計画に沿って日本語VAシャドーイング用の教材開発および、パイロット調査を行なった。具体的には、実際に教材を作成し、漢字圏学習者14名と非漢字圏学習者9名を対象に、3群(VAシャドーイング群、ビジュアル・シャドーイング群、シャドーイング群)を設定しどの方法が、漢字の読みの学習を促進するかについて検討した。その結果、予想に反して、VA群とビジュアル・シャドーイング群は、シャドーイング群と比較して同等程度漢字の読みの学習を促進することが判明した。VAシャドーイング群同様にビジュアル・シャドーイング群の成績が伸長した要因は、ビジュアル・シャドーイング群用の教材に用いたフリガナが音声と同様の役割を果たすことであることが判明した。今回のパイロット実験では、大学生を対象としたが、文字からの学習に慣れていない小学生を対象としても、フリガナすなわち表音文字が、同様の効果を発揮するかについて検討する必要がでてきた。そのため、平成29年度の前半は計画を変更し本件を検証する必要があるため、当初の予定よりも「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度の前半は、昨年度に引き続き実験協力者の対象を変えて、実験を続けることになった。そのため、当初予定していた計画を今年度の中期に行うことになる。しかしながら、元々今年度の後期(12月~3月)を、調査時期の調整期間と設定しているため、中期に行うべき実験と分析をこの時期に行うことで、当初の計画通りに調査を実施できると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当初東京での会議を予定しており、研究分担者に旅費として相当額を配分したが、研究の進捗状況によりその必要がなくなったため、主に旅費分が次年度使用額が生じてしまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
来年度は、今回の繰り越し分があることを考慮して研究分担者へ配当金を減額し、その余剰分を9月に予定している米国ノースカロライナ州での研究調査費に回すことにした。
|