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2017 年度 実施状況報告書

映像記録を用いた日本語教師の語りの保存に関する基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 16K13249
研究機関関西学院大学

研究代表者

牛窪 隆太  関西学院大学, 日本語教育センター, 言語特別講師 (80646828)

研究分担者 三代 純平  武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (80449347)
金 孝卿  大阪大学, 国際教育交流センター, 特任准教授(常勤) (30467063)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード日本語教師研究 / 映像 / 教師の語り / 実践知
研究実績の概要

2年目となる本年度は,教師の実践知についての先行研究を中心に理論的検討を行ったうえで,教師の語りの収録を実施し,編集作業を経て2本分の映像を作成した。収録は,関東と関西で実施し,各2時間程度の映像を収録したのち,編集ソフトを使用してそれぞれ20分程度にまとめた。
編集作業においてフィードバックを得るため,教授歴5年目程度までの現職教師(5名)を対象に実施した映像視聴会として,以下の調査を実施した。1)映像の時間軸に沿ったタスクシートを作成し,自身の教師としてのキャリアにとって示唆を与える語りを特定してもらう,2)タスクシートをもとに映像についてインフォーマルディスカッションを行う。調査は,映像の編集方針について検討するためのものであったが,タスクシートとディスカッションの文字起こしを分析した結果,以下のことがわかった。
1)映像の解釈を述べる過程で参加者の信念や課題についての言及が見られた。2)自身の環境から距離を取ることによって,自身の葛藤や課題に対して新たな意味づけが行われていた。
このことは,映像をもとにした話し合いが,教師研修の方法論として,ある程度の有効性をもつと解釈できるものである。つまり,映像についての解釈を話し合う場において,それぞれの教師が自身の実践知を俯瞰する視点が生まれ,現在の課題や信念に新たな意味づけが行われていると考えられる。このことから,3年目の課題として,教師の語りの映像化作業を進めつつ,教師研修としての具体的手順を検討することが見えてきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初は,協力者の語りとともに,実際の教育実践の様子など授業風景を収録することを考えていたため,授業開講期間中でのスケジュールの調整などに時間を取られた。また,映像収録後にソフトを使用して編集作業を実施しているが,専門ソフトを使用した映像編集の経験が豊富とは言えない状況であたっため,編集技術の習得に時間を要したという実際的な要因が大きなものとなっている。映像収録と編集作業を何度か経験し,ある程度のノウハウが蓄積されてきたため,今後,編集作業自体は,ルーティン化していくことが可能であると考えている。映像収録と編集について,まずは,多くの映像素材を撮ってしまって,それからまとめて編集作業に入るということも考えはしたが,編集作業を経験する中で,インタビューで素材を集める段階で,映像としての方向性がある程度決まってしまうことが見えてきたため,まずは,数本の映像を丁寧に仕上げることを目指した。

今後の研究の推進方策

最終年度となる2018年度は,同じ手続きで映像の収録をすすめるとともに,調査の結果見えてきた,映像を用いた教師研修の方法論について,その具体的な手順を検討する予定である。具体的には,以下の課題について調査研究を進める。
1)映像の収録と編集作業:前年度の成果を踏まえ,引き続き,2本の映像収録と編集作業を終えることを予定している。また引き続き,現職教師を対象とした視聴会を実施する。
2)教師の評価と教授歴の関係:編集段階における調査について,前回は,5年程度の教授歴(新人教師)を対象に実施したため,批判的な評価は見られなかった。そのため,ディスカッションにおいても熟練教師の語りにおける実践知を肯定的にとらえたうえでの議論がなされている。調査協力者が変わり,映像における教師の語りに対する評価が変わることによって,議論の流れがどのように変化するかを検討する必要がある。
3)映像視聴を軸とした教師研修の具体的手順の検討:現段階では,映像フォーマットの検討を目的として実施している,タスクシートを使用したインフォーマルディスカッションという調査の方法論を教師研修の方法論として考えた場合,どのような手順で実施されるべきかについて検討する。特に,教師自身による実践知の再解釈に焦点を当てて,深い内省のための方法論を探求する。

次年度使用額が生じた理由

撮影機材の購入について,一部他研究費で購入した機材を使用することができたことと,購入を控えた備品があったため,当初の計画との間に差額が生じた。また,映像編集について,数を絞り込んで作業を進めたため,アルバイトに作業依頼をする必要がなかったこと,調査協力者への謝金を押さえたことから,人件費にも差額が生じている。次年度は最終年度であるため,備品の購入とともに,映像視聴会にかかる経費の使用が見込まれるため,残額を計上する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 熟練教師の語りを学びの資源とする日本語教師研修の提案2018

    • 著者名/発表者名
      牛窪隆太
    • 学会等名
      言語文化教育研究学会第4回年次大会

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公開日: 2018-12-17  

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