研究課題/領域番号 |
16K13254
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
江藤 裕之 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70420700)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アカデミックライティング / 英語教育 / 英語教授法 / カリキュラム / 英語学習支援 |
研究実績の概要 |
本年度はアカデミックライティング指導を中心とした大学レベルの英語学習支援についての実態調査、及びシンポジウムを行った。 ・英語圏の大学の調査として、平成30年3月19日~20日にニュージーランド・ウエリントン市のVictoria University of Wellingtonを訪問し、英語教育担当の教員にヒアリング調査を行い、英語教育に関する関連施設の見学を行った。 ・調査対象を非英語圏の大学に広げ、平成30年2月7日~10日にかけて、タイのタマサート大学の英語教育専門部局LITU(Language Institute Thammasat University)、及びチュラロンコーン大学の英語学科と英語教育専門部局CULI(Chulalongkorn University Language Institute)を訪問し、各施設の担当者に英語教育、英語教育サポートに関するヒアリング調査を行い、SALC等の関連施設を見学した。 ・平成29年10月20日、英語教育サポートシステムを中心に、国内の大学の中でも注目すべき英語教育を実践している神田外語大学(千葉県千葉市)を訪問し、担当事務責任者、SALC(Self-Access Learning Center)長、英語カリキュラム作成責任者等に面会し、ヒアリング調査を行い、英語学習センター等の関連施設を見学した。 ・昨年度に訪問調査した香港の大学の中から特に注目すべき英語教育実践を行っている大学(香港理工大学、香港科技大学)、及び(2)に記載した神田外語大学より、英語教育、英語学習サポートセンターの担当者を東北大学に招き、平成30年3月3日に「東アジアの大学における特色ある英語教育サポートシステム――香港と日本の例から」と題した英語による公開シンポジウムを開催した。シンポジウムでは、日本の大学英語教員、高校英語教員、英語教育専攻の大学院生、英語教育関連の出版社からの参加者を交え、発表者のそれぞれの大学での特色ある英語教育実践プログラム、学生の英語学習支援プログラムの報告をしていただき、意見交換・情報交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた英語圏(ニュージーランド)、非英語圏(タイ)における、アカデミックライティング指導を中心とした大学レベルの英語学習支援についての実態調査に関して、調査校の変更はあったものの、ほぼ予定通り実施し、満足のいく結果を得ることができた。調査は、英語学習支援に焦点を当て、アカデミックライティングのサポート等の実際を調査した。インターネットによる情報収集の他に、アカデミックライティング教育担当の教員、英語教育担当部局の責任者へ直接コンタクトをとり、ヒアリング調査、アンケート調査を行い、アカデミックライティング教育の実態を明らかにするための基礎資料を収集することができた。 準英語圏・非英語圏の大学を調査対象と加えることに関しては、インターネット、書籍、既存の人的ネットワーク等による調査、及び、英語圏での現地調査の結果から得た示唆に基づき、本研究の成果をわが国の英語教育、それもとりわけ大学レベルの英語教育に応用するには、英語圏よりも、むしろ、準英語圏・非英語圏におけるアカデミックライティング教育、英語学習支援の実態を明らかにする方が有効であるとの結論に達したからである。 しかし、昨年度の調査で判明したアカデミックライティングのテキストを教科書として使用するアカデミックライティグの授業で配布されるシラバス、配布資料の収集、及び、英語圏の大学や学術組織(学会、出版社等)が出している論文執筆ガイドライン等の資料収集が不十分であり、それを継続して行っていく。分析は、論文構成、語学的側面、書式、引用、出版プロセス、統計、図表、研究法、倫理、法的知識の項目で各テキストの記述内容を比較し、それぞれの特徴を明らかにし、アカデミックライティングにおいて、どのような点が重視されているかをまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度(平成30年度)は、過去2年間における調査・研究をまとめ結果を発信する。 これまでの調査結果に基づき、本研究の成果をわが国の大学レベルの英語教育に応用するには、英語圏よりも、準英語圏・非英語圏におけるアカデミックライティング教育を中心とした英語教育支援システムの実態を明らかにする方が有効であるとの結論に達した。そこで、東アジアの準英語圏・非英語圏を中心に大学レベルでの英語教育に焦点を当て、インターネットによる情報収集の他に、アカデミックライティング教育担当の教員にコンタクトをとり、アカデミックライティング教育の実態を明らかにする調査を継続する。 上にも述べたが、Publication manual of the American Psychological Association 等のアカデミックライティングのテキストを教科書として使用するアカデミックライティグの授業で配布されるシラバス、配布資料の収集、及び、英語圏の大学や学術組織が出している論文執筆ガイドライン等の資料収集が不十分であり、それを継続して行っていく。分析は、論文構成、語学的側面、書式、引用、出版プロセス、統計、図表、研究法、倫理、法的知識の項目で各テキストの記述内容を比較し、それぞれの特徴を明らかにし、アカデミックライティングにおいて、どのような点が重視されているかをまとめる。 平成29年2月に訪問した香港城市大学、香港理工大学とともに、香港教育大学、香港浸會大学、嶺南大学がオンライン上の英語学習ステムであるICOSA(Inter-institutional Collaborative Online Self-Access Project)を共同開発している。その詳細な調査のため、香港を再訪し、英語教育、英語学習サポートセンターの責任者にヒアリングを行う。さらに、香港市が教育行政として行っている英語学習サイトの運営についても調査を行い、官学のコラボによる英語教育学習サポートシステムの実際について明らかにしていきたい。
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