研究課題/領域番号 |
16K13268
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
松本 佳穂子 東海大学, 国際教育センター, 教授 (30349427)
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研究分担者 |
竹内 俊彦 東京福祉大学, 教育学部, 准教授 (20327290)
加藤 由樹 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (70406734)
加藤 尚吾 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (80406735)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | グローバル人材 / 構成要素分析 / 評価ツール開発 / 実証的ニーズ検証 / グローバル市民教育 / 異文化間能力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である(1)グローバル人材に必須とされる要素の抽出と検証と(2)それを測定するツールの開発のため、以下の3点を実施した。
1.OECDの汎用的能力(キー・コンペテンシー)や「21世紀型スキル」、AHELOの基準、ヨーロッパのFREPA(異文化間能力の指標)、北米で使用されている様々なクリティカル・シンキングの評価ツールなどを含む欧米の諸基準を分類・精査し、グローバル人材の構成要素と思われる項目の対照表を作成し、そこから実験に日本における指標として使用すべき項目を抽出した。 2.まず上記の項目と事前実験の結果(102人の国際的な人材へのアンケートやインタビュー)を照らし合わせて、本実験のアンケート項目と半構造化インタビューの内容と方法を決定し、匿名で回答できるオンライン・アンケートを準備し、インタビューは電話で行った。現在までに240名のアンケート回答と12名のインタビュー結果を収集・分析したが、本実験においては、企業、国際機関、学術団体などで国際的に活躍する方々の属性(分野・職種・地位・年齢・性別など)がバランスよく網羅されるように人選を行い、属性による違いが十分信頼性を持つ形で現れるようにした。インタビューについては、クラスター分析によって分類された4つのグループを代表する方々を3名ずつ、計12名について実施した。 3.演繹的に作成した欧米の様々な指標の対照表、オンライン・アンケートに使用した項目、インタビュー結果を突き合わせ、評価ツール作成の基礎となる構成要素を分類しつつまとめた。現在その結果についての分析方法も含めてヨーロッパとアメリカの専門家にアドバイスを仰いでいるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オンライン・アンケートの回答は現在も集まりつつあり、最終的には300名ぐらいの属性ごとのバランスの取れたデータが本年度(2年目)前半までに得られる予定である。昨年度(平成29年度)は、研究発表や論文執筆のために、その時点で集まったデータを分析してきたため、半構造化インタビューについては、クラスター分析によって得られたグループを代表する方々に対してのみ実施した。最終的に様々な属性についての分析結果が得られることを想定し、それに基づいて属性の違いがもたらす差を更に探求するようなインタビューの実施を本年度前半に予定している。当初計画では、本年度は数種類の評価ツールを作成して実地検証をする予定であるが、既に必ず含ませるべき指標についてのテスト項目の作成を初めている。よって、最終的なデータ検証を今年に持ち込んではいるが、ほぼ予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の2年間の計画は以下の通りである。 <平成29年度> まず、昨年度作成したグローバル人材の指標案を基に、テスト項目を作成する。コアとなる項目は既に確定できているので、それについてはいくつか形式の違うテスト項目を考案し、加えてクラスター分析や属性分析によって得られた差異をカバーする項目群を数種類用意する。あまり種類を増やすと信頼性の検証が難しくなるため、実験においてはコア項目についてのテスト項目と、周縁的なものを組み合わせて数種類の評価ツールを用意する。次に、それぞれの評価ツールを学生・社会人に対して実験的に実施する(被験者は統計的に意味を持つように100名ぐらいを予定)。その後、テスティング理論に基づく妥当性・信頼性・実現可能性を分析・検証し、問題のある項目を修正・調整しつつ、一つの評価ツール(最終版)にまとめ上げる。そのプロセスでヨーロッパとアメリカの専門家にフィードバックを頂く。最終的には、中核的な指標のみを扱うツールを目指し、周縁的項目については自己チェックリストとして使用できるようコア項目との相関などを示す。 <平成30年度> まず、最終版の評価ツールを改めて約200名の学生・社会人に対して実施し、総合的分析の結果を基に問題のある項目の修正・調整を行う。次に、配点や重みづけなどを再検討し、全ての分析結果を教育指標・自己チェックリストとしての利用についても反映する。同時進行的に、研究会やシンポジウムを通じて教育者やビジネス界のリーダーの反応を収集して、指標と評価ツールの改良を行う。最終段階として、ウェブサイトに指標と評価ツールを公開し、インタラクティブな機能を付けて広く一般的な反応を集める。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集、分析はほぼ計画通りに進んでいるが、加藤尚吾と加藤由樹に関しては、分担金が目指していた米国での国際学会の参加費・旅費より少なかったため、昨年度(平成28年度)の残額を本年度(平成29年度)の分担金に上乗せして、本年度の米国か英国での国際学会での発表のために使う予定に変更した(昨年度は代わりに研究代表者の松本と竹内俊彦がその時点での分析結果を発表した)。消耗品の費用や謝金、会議費用などは代表者の松本が支払う計画であり、分担者3名は分析と発表を主に担当するので、特に全体計画への影響はない。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は国内・国外の学会発表の詳細計画を立て、代表者と分担者3名がそれぞれ国内学会で2回、国際学会で2回発表できるようにしたので、昨年度の残金は主に学会発表費用に充てる予定である。
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