私の研究は、長崎・天草の潜伏キリシタン関連遺産のユネスコの世界遺産登録に向けての史料収集と編纂を行うことであった。長崎・天草に関する本遺産登録は、2018年6月に正式にユネスコによって承認されるに至った。 16・17世紀の長崎に関する重要な史料である手稿版『日本年報』をヨーロッパの古文書館で収集した。具体的には、イタリアのローマ・イエズス会古文書館、スペインのトレド管区イエズス会古文書館、王立歴史学学士院、国立図書館、国立文書館、王宮図書館である。収集しなけれならない史料の95パーセントは収集できた。ただ大英図書館所蔵の史料の複写があまりにも高額なため、別の方法での入手を検討中である。 現在、スペインの王立歴史学学士院の史料を活字にする作業を行っている。収集した史料はすべて手稿であるので、活字化する作業は、簡単には進まないのが現状である。また、資金不足により、作業が進展できないことから、昨年度、同テーマにて新たに科研申請を行った。 一方、収集したした史料をもとに著述した『サムライの国・日本におけるイエズス会の歴史』が昨年スペインにて出版された。今年の9月には、『長崎教会史』がスペインで出版されることに決定している。日本語では、『概説 イエズス会日本布教史(16・17世紀を中心に)を執筆中である。 昨年度は、研究成果を普及するためにスペインのアルカラ大学にて研究会を開催し、私の研究成果を報告した。また、長崎史談会にて、2回の報告会を行い、長崎市民に研究成果を還元した。
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