研究課題/領域番号 |
16K13285
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中山 大将 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (00582834)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 東アジア / サハリン / 樺太 / 近現代史 / メディア / データベース / 境界地域 |
研究実績の概要 |
平成28年度はパイロット・プロジェクトとしての「サハリン残留日本人歴史情報データ・ベース」の構築を実施する計画であったが、再検討した結果、本DBの基になるデータ群が複雑な構造を持っていることと、一般公開が難しい性格のデータであることを鑑み、パイロット・プロジェクトの対象を『樺太日日新聞』記事DBに変更した。これは、樺太史研究者であれば、各自が自身の研究テーマに沿って自分なりの方式で作成しているはずの記事目録を、統合しDBとして公開することを目指すものである。このような方法を採用したのは、網羅的に記事目録を作るには多大な時間と予算、労力が必要となるが、すでに各研究者が手元に持っているものを統合するのであれば、網羅的ではないものの、その労力を省けると同時に、研究者が保有する研究資源の有効活用を図ることができ、小予算DBのモデルを作れると考えたからである。現在、若手研究者を中心に協力と記事目録の提供を得て、現在2,500件分のフォーマット統一が終わった。また、利用するDBシステム(Myデータべ―ス)についてもマニュアルを取り寄せるなど、準備を順調に進めている。 調査活動としては、国内外でのサハリン・樺太史関係資料の収集に努めたほか、各地の関係研究者や関係団体などと交流し、DBに関する要望や需要の下調べを行なった。 前記の「サハリン残留日本人歴史情報データ・ベース」自体は構築に至れなかったものの、作業段階のデータ・ベースを利用して、2本の論文(論文集)の執筆刊行を行なうことができた。 境界地域史研究という点では、日本台湾学会学術大会では個別報告で、近現代東北アジア地域史研究会研究大会ではシンポジウムで、サハリン島と台湾等についての比較境界地域史研究の成果を報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己満足に終わらず、関係研究者や団体・個人の需要に合ったDBを、限られた時間と予算のもとで構築するために構想を何度も練り直すことに時間が費やされたが、パイロット・プロジェクトとしてふさわしい『樺太日日新聞』記事DBの構想が固められ、数名の研究者からは賛同とデータの提供を受け、フォーマット統一も順調に遂行している。
|
今後の研究の推進方策 |
パイロット・プロジェクトを完成させることが第一の課題である。パイロット・プロジェクトさえ成功すれば、技術的問題に時間を費やすことはなくなり、なおかつ『樺太日日新聞』記事DBを拡張させる形でメイン・プロジェクト「サハリン島史ミクロ歴史情報データ・ベース」へと移行することが可能である。本研究プロジェクトのみで膨大な歴史資料からDBを網羅的に構築することは困難であるので、本研究プロジェクトの目標点は、DBのサンプルを示し、より大きなプロジェクトなどを通じてDB規模を拡大するための基礎をつくることにある。そのため、基礎構想については今後も丁寧に検討を加えていく。 どのような資料群を対象にしてデータを抽出し、どのようなインタフェースを用いてDBを公開していくのかについては、今後も関係研究者からの需要や意向を調べながら進めていく。また、引き続きDB構築に資する歴史資料の収集も継続する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも物品購入費、人件費・謝金の使用が少なかった。これは、DBの構想やデータ整理などに予定よりも多くの時間を使ったため、謝金によって実施する作業等やそのための必要物品の購入などの発生が予定よりも減少したためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
DB構築のための体制が整いつつあるので、引き続き謝金による作業やそのための必要物品の購入を実施するために、これらの金額を利用する計画である。
|