研究課題/領域番号 |
16K13298
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
吉田 道代 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40368395)
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研究分担者 |
新ヶ江 章友 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 准教授 (70516682)
福田 珠己 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 教授 (80285311)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 同性パートナーシップ制度 / 地方自治体 / 地理学 / ホーム / 同性愛者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、自治体による同性パートナーシップ制度の導入が、同性愛者の居住地選択、個人的アイデンティティ、家族関係、同性愛者コミュニティとの関わりにもたらす影響および都市へのその空間的反映を調査することである。2018年度においては、文献資料の収集および日本国内でのフィールド調査を実施した。文献資料については、前年度に引き続き、同性カップルの家族関係、同性パートナーシップ制度および地理学のホームの概念に関する学術論文等を収集した(福田)。フィールド調査においては、地方の自治体(東京都中野区、千葉市、大阪市、福岡市)および政治家、同性愛者を対象とする聞き取り調査を実施した(吉田・新ヶ江)。 本研究に着手した時には、同性パートナーシップ制度導入の背後にある自治体の動機に、富裕な同性愛者住民の誘致あるいは住民の多様性に基づく創造的文化産業の促進への期待など、経済的利潤の追求が含まれることを想定していたが、本年度を含めたこれまでの自治体を対象とした聞き取り調査では、直接的な経済的利潤を期待する自治体は確認できなかった。同制度の導入については、こうした経済的目的よりも、同性愛者・トランスジェンダーであることを公表している政治家や市民活動家の影響力が大きいことが明らかとなった。この点については、2018年のIGU大会において研究成果として発表した(吉田・新ヶ江)。また、同性パートナーシップ制度によって、同性愛者が特定の市などに引き寄せられる可能性も想定したが、そのような事例は少数であった。したがって、これまでのところ、同制度が同性愛者の居住地選択に大きな影響力を持っているとは言えない状況である。これを確認するためには、当事者を対象としたさらなる調査が必要であり、定量的調査も計画したが、予算の限界により実施できなかった。これについては今後の課題としたい。
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