研究課題/領域番号 |
16K13299
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
須山 聡 駒澤大学, 文学部, 教授 (10282302)
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研究分担者 |
藤永 豪 西南学院大学, 人間科学部, 教授 (00409955)
林 琢也 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (50572137)
高橋 昂輝 香川大学, 経済学部, 准教授 (40806345)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生活環境 / 集落点検 / 交流人口 / サードプレイス / 景観 / 他出子 |
研究実績の概要 |
これまでの研究から,生活環境の改善のためには集落内の空間の性格を把握し,それぞれの空間に役割と意味をもたせることが必要であることが明らかになった。そのためには,集落内の施設や土地利用を漫然と調査するのではなく,ミクロスケールでの空間構造を解明することが重要である。とくにパブリックな空間とプライベートな空間の中間に位置する,「サードプレイス」の存在が,生活の質を向上する上で重要であることが明らかになった。対象地域は住民の結束が強く,濃厚なコミュニケーションが取り交わされていると思われがちであるが,実際には都市の住宅地域などと同様,自宅に閉じこもりきりの高齢者や,家族だけでコミュニケーションが完結する若夫婦世帯も多い。一方住民に共有される施設は公民館などの公共施設に限られるが,これらの施設は区長など集落指導者層の管理下にあり,多くの住民が気軽に利用できる環境ではない。すなわち,集落内の空間がパブリックとプライベートに明確に分節化されていることが,住民のコミュニケーションを阻害していることが明らかになった。 本年度は研究全体の総括の年と位置づけ,集落における生活環境の改善と交流人口増加を図るための具体的な取り組みに重点を置いた。上記の問題を解決するために,集落点検の報告会において「サードプレイス」の必要性を住民に訴えた。そのなかで高度経済成長期までは集落に存在した施設や場所を再構築することを提案した。具体的にはかつてはあった共同商店に代わって「駄菓子屋」を作ること,集落内の道路壁面を緑化しそぞろ歩きができるようにすること,祭祀の場であったミャーの跡地に木を植えて日陰を作り,ベンチを置いて住民が憩える場所を作ることである。これらの施設は漫然と設置するのではなく,精密な観察に基づいて,かつてあった場所の性格を踏まえなければならない。
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