本年度は、3年間の本課題研究を実施したのち、その成果発表のための論文の執筆・投稿を行った。これらの論文は、2020年2月にフランスのボルドー=モンテーニュ大学において、本科研費を用いて、フランスの研究者5名を招いて実施したシンポジウム「デジタル時代の若者の身体性」において、三浦(研究代表者)と寺戸(研究分担者)、およびデュテイユ=オガタ(海外共同研究者)が発表した内容を、シンポジウムでの議論を踏まえて、それぞれがさらに発展させたもので、フランスで出版されている国際学術雑誌『Revue STAPS』にフランス語と英語で投稿された。その後、第1回の査読結果を踏まえて改稿を行い、現在は第2回の査読結果を待っているところである(コロナウイルス問題のため、査読作業が遅れている)。 これらの論文において議論されている内容は次のとおりである。三浦は、日本人大学生がボランティア活動を行う間に、ソーシャルメディアであるLINEに投稿するデジタル写真を取り上げ、デジタル写真の画像分析をもとにそこでの公共性のあり方を明らかにした。寺戸は、フランスに本部を置く介護ボランティアNGOであるラルシュ共同体の日本支部の活動とその支部のインターネット上での掲載写真の分析を通じて、管理できないケアにおける身体と管理できるHP上の身体の対比を社会学的に分析した。デュテイユ=オガタは、日本の大学生のスポーツサークルでの活動とSNS利用を分析し、SNS利用が作り出す共同体の特質を明らかにした。 雑誌『Revue STAPS』は、論文を英語とフランス語の二つのヴァージョンで提出する必要があったため、そのネイティブ・チェックのために、2018年度の研究予算の一部を2019年度に繰り越しをし、その予算で三浦と寺戸の二つの論文について、それぞれ英語とフランス語のネイティブ・チェックを行った。
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