研究課題
台湾における視覚障害者および視覚障害者について研究する研究者とのネットワーク構築、視覚障害者関連施設や視障按摩店舗での聞き取り調査と参与観察を中心に実施した。高雄医学大学の邱大昕教授の協力を得て、台湾南部の高雄および台南における視障按摩店計7店舗および台南市佑明視障按摩協進会など視覚障害者教育施設を調査するとともに、台南大学視覚障害者教育並びにリハビリテーションセンター、および台南大学付属啓聡学校において当該学校の教員と意見交換を行い、台湾南部における視覚障害者按摩の運営形態、および按摩師養成のプロセスを明らかにした。また、台湾北部の台北および新北市の盲人リハビリテーションセンターおよび中華視障安養福利協會において聞き取り調査を実施し、台湾における視覚障害者按摩の発展に関して基本情報を収集した。さらに、連携研究者の広瀬浩二郎は、8月20日に高雄市労工博物館において開催された「博物館と触覚の心視覚」と題するシンポジウムで講演することで、触覚に基づく文化に関する日本と台湾の比較について議論の基盤を整えた。最後に、研究代表者の木村自は『台湾を知るための60章』(赤松美和子, 若松大祐編)に「宗教――台湾化とグローバル化」(268-272頁)、「年中行事――台湾歳時記」(273-277頁)、「コラム 婚礼と葬礼――人生の赤と白」(278-280頁)を執筆し、台湾視覚障害者文化の基盤となる台湾の文化的現状を一般向けに解説した。
2: おおむね順調に進展している
当初予定通り、台湾南部における視障按摩店舗および視障者関連施設の調査を実施し、また次年度実施予定であった台湾北部の調査も実施したため。
台湾北部おける視覚障害者按摩施設を中心に、視障按摩店舗における参与観察および聞き取り調査を実施する。とくに、中華視障安養福利協會が運営する「永樂活力按摩小站」において10日程度の定点観測を行い、按摩師のライフヒストリーを聞き取るとともに、按摩師の日常生活の観察、顧客数および顧客層の量的データの収集、顧客と按摩師との会話をはじめとする質的データの収集を行う。また、財団法人台湾盲人重健院において、聞き取り調査および参与観察を実施する。調査結果をとりまとめ、国際学会で発表するとともに、大学の紀要および台湾で刊行される社会学関連のニューズレターに投稿する。
当初計画よりもフライト代金および宿泊料金を割安で支出できたため。
8月に実施する長期調査のために使用する。
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