旧東ドイツの法体制について、とりわけ司法権に関する基本的な考え方と司法の現実及びその発展についての実証研究を行なった。1948年頃までは様々な方向への発展の可能性が(ドイツ共産党/社会主義統一党内部でも)存在していたが、社会主義統一党の権力掌握に伴い、民主集中制の原理にもとづく一元的な司法権が形成され、もっぱら司法省、検察庁、最高裁が主導し、個々の裁判所内でも所長が強い影響力を行使する特異な「民主主義的」司法が形成された。しかしその後も、司法部/法学界内部では様々な矛盾が存在し、また、党の主張に反して一般市民の司法への関心も決して高くはなかった。
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