研究課題/領域番号 |
16K13316
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
岩崎 政明 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (20183014)
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研究分担者 |
川島 いづみ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50177672)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 税務コーポレートガバナンス / コーポレートガバナンス / タックスコンプライアンス / 英国における税務コーポレートガバナンス / 租税回避スキーム / 義務的開示制度 / プロモーター規制 |
研究実績の概要 |
税務コーポレートガバナンスの我が国における進捗状況を調査し、その意義を分析して、次の論文等を執筆し、公表した。 すなわち、岩﨑政明「企業のタックスコンプライアンス向上のための方策―その目的、内容、期待される効果について―」税大ジャーナル27号(2017年3月)1-14頁、岩﨑政明「英国における租税回避スキームの義務的開示・プロモーター規制」論究ジュリスト23号(2017年秋号)190-193頁、岩﨑政明「税務コーポレートガバナンスの現状と動向」税務弘報66巻4号(2018年4月)2-3頁である。 また、外国調査として、本年度も、2017年9月13日から19日まで、英国に出張し、ロンドン大学高等法学研究院において、文献を調査収集するとともに、我が国における経済産業省に相当するDepartment for Business,Energy & Industrial Strategyを訪問し、Corporate Governance Reform担当のAssistant DirectorであるMs.Ilaria Lavalle Miller氏と、Corporate Governance Reform,Business Finance & Tax Team担当のMr. Robin Mueller氏から、英国における税務コーポレートガバナンスの現状について説明を受けた。 とりわけ、新しい動きとして、企業弁護士、公認会計士、税理士との専門家に対する企業の租税回避スキームの開示義務規制の情報を得た。この内容については、上記の論究ジュリスト23号において、論文にして公表をした。こうした、いわゆるプロモーター規制の動向は、OECDにおける取組状況に照らして、どのような意義を持っているかを引き続き検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(理由) 英国出張において、税務コーポレートガバナンスの充実に向けた取組を担当しているDepartment for Business,Energy & Industrial StrategyのCorporate Governance Reformの担当者から、英国で進められている直近のコーポレートガバナンス強化の取組について説明を受け、企業の税財務担当専門家である弁護士、公認会計士、税理士等に対するプロモーター規制により、企業の租税回避の試みを未然に防止し、または租税回避事実を公表することの意義を知ることができたこと。そして、この知見に基づき、論文を執筆し、公表することができたこと。
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今後の研究の推進方策 |
本研究開始から2年間にわたり、英国の取組について調査研究を進めてきた。この点については、相当の成果を上げることができたと自己評価をしている。今後においては、これまでの調査研究を前提として、米国の取組状況について、発展的に調査研究を進めていきたいと考えている。米国の税務行政政策は、トランプ政権になって以降、不透明な状況であったが、企業による租税回避を発見・防止することは、米国政府にとっても懸案事項であることから、新しい取組がなされているはずである。それを解明し、わが国の租税行政政策に反映させることができればよいと考えている。
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