研究課題/領域番号 |
16K13319
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
林 晃大 近畿大学, 法学部, 准教授 (80548800)
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研究分担者 |
上代 庸平 武蔵野大学, 法学部, 准教授 (90510793)
野口 健格 中央学院大学, 法学部, 准教授 (00716780)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 公法学 / 産業遺産 / 行政法 / 憲法 / 地方自治法 / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
研究2年目である平成29年度は、昨年度と同様、「欧州産業遺産の道(European Route of Industrial Heritage)」プロジェクトの中心的役割を担うイギリス・ドイツという産業遺産保護先進国および日本と同様に産業遺産の保存・活用に向けた取組みの重要性の認識が遅れ、それを模索しているスペインにおける産業遺産の保存・活用の現状を、各研究分担者が担当する国ごとに、資料・文献をもとに分析し、比較法制度研究を行った。 さらに、それぞれが担当する国に現地調査を行ったのも今年度の実績の1つである。例えば、イギリスでは、「欧州産業遺産の道」プロジェクトのアンカーポイントの1つであるマンチェスター科学・産業博物館を訪れ、産業革命の出発点であるイギリスにおける産業遺産の保存状況の視察を実施するとともに、ロンドンのテート・モダン美術館のように産業遺産を利活用している施設の視察も行った。ドイツでは、ベルリン州都市建設観光局、リューダースドルフ市、財団法人ドイツ技術博物館、ブランデンブルク記録財団に訪問調査を実施し、文化財保護に関して生じている私的所有権との関係における法的問題や文化財保護のための財源の確保に関する調査を行うとともに、予算不足により保存措置が不十分になっているリューダースドルフ鉱山や、利活用のモデルケースとされるドイツ技術博物館とベルリン航空博物館の視察を行った。また、スペインでは水銀鉱山関連施設であるアルマデン鉱山パークおよびアストゥリアス鉄道博物館の視察・調査を行った。 イギリス、ドイツ、スペインへの現地調査は、比較法研究の基礎となるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、各研究分担者それぞれが担当する国(イギリス、ドイツ、スペイン)ごとに比較法制度研究の基礎を築きながら、それぞれが担当する国において現地調査・研究を行った。おおむね申請時点で予定していた研究計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、比較法研究の基礎を構築するため、収集した資料・文献の分析、把握した現状を理論モデルに当てはめるための整理を行った。さらに、研究分担者それぞれが担当する国(イギリス、ドイツ、スペイン)においてヒアリングや視察を含めた実地調査を行った。 平成30年度は、さらに海外調査を行う予定である。その中で、諸国における産業遺産の活用例に注目し、世界遺産を起点として周囲の産業遺産の保存・活用を振興する施策を自ら策定・推進している都市や地方を選定し、その対象とする予定である。また、国内においても、世界遺産である「明治日本の産業革命遺産」の構成資産ではないものの、産業遺産を抱えており、それらの保存・活用制度が未整備である地方自治体へのヒアリング調査を行うことも予定している。 最終的には、これらの結果をまとめて突合せることで、イギリス、ドイツ、スペインの産業遺産保護制度の実体と日本の制度の比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)旅費について、当初予定していた使用額よりも少額で国外調査に赴くことができたため。 (使用計画)平成30年度にも国外調査を行い、当初予定していたよりも多くの都市・地方に赴きヒアリングや視察を行う予定である。
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